第53話 ページ7
医務室生活5日目、今、他の生徒は授業中、新野先生は出張。だから部屋には私1人。
いや、実際には1人じゃないんだが。
『パペット、なんやかんや六年のまで作り終わっちゃったなぁ...そこに居ていいんで、話聞いて貰えます？』
もちろん返事は帰ってこない。
『私がもしも忍びになれないとなったら、どうすればいいのかって、最近よく考えるんです。貴方のことなら、もう学園の生徒のある程度の情報を知ってると思いますが、例えば、兵助には豆腐があります。しんベヱも貿易商が、金吾や虎若も、それに、他の奴らもみんなそれぞれ、忍びの技術とは別の才があります。でも、私には...』
すると、さっきまで屋根裏に居た人物が音を立てずに降りてきた。
雑渡「それ以上言わないこと。」
『え？』
雑渡「大丈夫、君は忍びになれるよ。就職場所が無いなら私のもとで働くといい。それと、君にもしっかり才能がある。」
雑渡さんは床に置いてある、伊作のパペットと伏木蔵のパペットを手にはめた。
『これは才能と言うのでしょうか...？』
雑渡「Aくん、君は上ばかり見てるみたいだね。」
『...でも上を見なければ、成長できません。』
雑渡「確かにそうかもしれない。だけど、上ばかりを見ていると下の罠に気づかず、落ちてしまう。それだけじゃない。意外と才能は大きなものじゃない。君が気付かないだけでそこにあるんだ。道端に落ちてる小銭も下を見なければ見つけられない。下を向いて見えるものだってあるんだよ。」
すると、雑渡さんの大きな手が私の上に乗った。
雑渡「よしよし...」
『...え？』
雑渡「A君は偉いよ、よく頑張ってるよ。」
そう言いながら雑渡さんは私の頭を撫でた。
なんだろう凄く安心する。
だけど...
雑渡「よしよし」
『あの、長くないですか？』
雑渡「うん。いつものA君に戻ったね。」
『えっ。』
雑渡「あ、そうだ。はい、これ」
そう言いながら、雑渡さんはボロボロになったタソガレドキの忍装束を渡してきた。
『ん？これは？』
雑渡「君が忍装束をリメイクして、パペットを作ってると聞いてね、作ってくれないかな。私のパペット」
『え、雑渡さんのをですか！？』
雑渡「ダメ？」
時々、あざとい女子みたいな事するよな、雑渡さんて
『いいですよ。』
雑渡「じゃ、よろしく。」
そう言いながら、雑渡さんは去っていった。
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はるか(プロフ) - qさん» qさん、コメントありがとうございます！楽しんで下さっているようで凄く嬉しいです。^^ (9月12日 19時) (
レス) id: 95c79412d3 (このIDを非表示/違反報告)
q - わあああ！新作ありがとうございます！いつも読んでます！めちゃくちゃ面白いです！ (7月28日 15時) (レス) id: ed7dbd6ca9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるか | 作成日時：2023年7月17日 16時
