妄想振幅期 (ページ15)

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魔法にかけられてページ15

Society 5.0。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会。
5G。第5世代移動通信システム。携帯電話などの通信に用いられる次世代通信規格のひとつ。

我々の住む世界で、今、色々な物事が急速な発展を遂げている。
あることないことがメディアで取り上げられるようになり、我々は情報の取捨選択――その情報が正しいかどうかを自分で判断しなければならない。
だが、そんな世の中でも判断し、信じられることがある。

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僕らの出会いは12年前。
日差しがジリジリと照りつけ、風の涼しさに身を委ねたくなる季節に、一人の女性が現れた。
胸元まで伸びた綺麗な茶髪を揺らし、レースのスカートを靡かせた彼女は、今まで出会った誰よりも美しかった。

「ひと漕ぎお願いできますか？」

彼女の言葉に、自分が船頭だったことを思い出す。

「かしこまりました。」

彼女の手を取り、舟に乗せる。
櫂を動かし、舟を漕ぎだす。

「気持ちい…」

晴れた空の下、海上に若い男女が二人。
こんな状況で何も起きない訳がない、と多くの人が思うだろう。

しかし、驚くほど何も起きなかった。
正直、自分でも驚いた。

約40分の船旅を終え、彼女を降ろすために舟を寄せる。

「ありがとうございました。」

優しい笑みを湛えて去ろうとする彼女に、声を掛けずにはいられなかった。

「また、来てくださいますか？」

まるで、魔法にかけられたように。

当時と同じ微笑みで僕を見守る彼女に、12年前の記憶が重なる。
薬指にはめられた結婚指輪(それ)が、僕たちの関係を物語る。

「ねえ。」

愛しのAが声を出す。

「キスしたい。」

当時想像できなかったほど、彼女は甘え上手なのだ。

「いいよ。」

そんな彼女のお願いを断る理由なんてないから、望みどおり口付ける。

「そんなんじゃ足りない。」

どこまでもかわいいAに、僕はずぶずぶと沼に溺れていくのだ。

100万回のKISS 『魔法にかけられて』

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お久しぶりです！
前から「次はこの曲を書こう！」と決めていたのですが、テストという高く厚い壁に立ちはだかり書けずにいました。
この曲タイトルから愛おしすぎてしんどいんですが分かります？(同意を得たい一心)