♯81 泣かない ページ36
かすかに鼻につく、血の匂い。
悲鳴とも言えない、断末魔のような叫び声。
…ごめんね、何もしてあげられなくて…ごめんね……。
皆、ご…めんね……。
――――ジュウゥゥ…――――
あ「……ッ…！」
……背中が、熱いよ…。
――――――――――――――――――――
――――ギィィ…――――
男「入れ。」
そう促す監視員の男に、私は抵抗もしないで動く。
…薄汚い、ろうやの中へと……。
男「H8525、ロンドリーズ聖が後にお食事をなされる。
そのときに歌えとのことだ。」
あ「……はい、わかりました。」
H8525…それが私のここでの呼び名。
はぁ、何でよりによって天竜人なんだ……。
あの…残忍極まりない冷酷な天竜人の奴。
……背中がまだひりひりする。
ここで生き延びるには相当な根性が必要だ。
それと…強い心と、目の光を決して失わないこと。
私が死ぬ？冗談じゃない。
私の死に場所は…こんなところじゃない。
…絶対に、生き延びて見せる。
解放のあの時まで。
？「あんた……新入りだね？」
…ろうやには、他に同居者が数人いるようだ。
あ「はい…私は本名はAと言います。
これからお世話になります。」
ジェ「あぁ、あたしゃジェシーってんだい。…絶対に、死ぬんじゃないよ。」
少しやつれた感のある…40代くらいのおばさんだった。
けだるそうな声とは裏腹に、彼女の表情は険しい。
でも、彼女の瞳には他の人と違い…光が見られた。
あ「はい、頑張りますね。」
ニッと笑った。
ジェ「!!……此処に来て笑った奴なんか初めてだよ…。」
目を丸くしてこちらを見る。
あ「へへ、嬉しいんですよ。一緒に住む人が良い人だったので。」
ジェ「な!?あたしはそんな人に見えるかねェ。」
そう言って照れくさそうに頭をかく。
あ「はい、とても……。」
そこまで行ったところで、外から足音が聞こえてきた。
男「…入れ、H8526。」
監視員の男は私たちのろうやの前で止まった。
8526……私の次の番号。
私と同じで新入りだな…。
呼ばれた人は結構な大柄で、無言で中へと入ってきた。
ガチャリ…と鍵が閉まると、男は沈黙のまま地面に座った。
あ「大丈夫ですよ…きっとまた、太陽のもとへと出られますから。」
優しく笑いかけながら話しかける。
…此処へ来る全ての人を、笑顔で迎え入れようと思った。
.
今の私ができるのはそれだけだ。
＊
ラッキーアイテム
革ベルト
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ラッキーナンバー
8
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X
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ルナ - この作品ダサいと言わんといて (2013年8月29日 15時) (
レス) id: 95cea71d40 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - good×１００００ (2013年8月28日 18時) (レス) id: 95cea71d40 (このIDを非表示/違反報告)
nan@*(プロフ) - 早いもので、気づいたらもう�癸欧�終わっていました……；； 続編で皆さんにまたお会いできることを願っています!!ヽ(；▽；ノ (2012年7月22日 23時) (レス) id: 2ececf99ef (このIDを非表示/違反報告)
nan@*(プロフ) - 梨子さん» コメありがとうございます！>_< 続編も読んでいただけると嬉しいですb (2012年7月22日 23時) (レス) id: 2ececf99ef (このIDを非表示/違反報告)
nan@*(プロフ) - ◇レン◆さん» そう言って頂けるととても嬉しいです!!´∀｀頑張ります！ (2012年7月20日 21時) (レス) id: 2ececf99ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nan@* | 作成日時：2012年5月5日 15時
