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｢気づいてたよ｣
ダニエルは
おおきなため息をついた。
吐いた息は
夜空に白く消えていく。
｢Aヌナを助けるのいつもヒョンだったし｣
｢そんなこと…｣
｢ヌナのこと俺より知ってるし｣
当たり前か、って
頭をかくダニエル。
顔はどこか寂しげで
私と目を合わそうとしなかった。
｢ダニエル、ごめんね｣
｢謝るなら別れるって言わないでよ｣
困ったような顔で
私をそっと抱きしめて
ただひたすら
そのままで言葉を待った。
｢…ヌナは幸せになって｣
｢ダニエルもだよ｣
｢ちゃんと気持ち伝えて｣
｢…｣
｢A、最後に１回だけ｣
彼の涙を見たのは
初めてかもしれない。
そのまま私の唇にキスを落とし
くしゃりと頭を撫でて
彼は背中を向けて行ってしまった。
｢ごめんね…ダニエル…｣
ただそう呟いても
もう彼に言葉は届かない。
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作者名：こずえ
| 作成日時：2017年11月12日 23時
