NEVER 2

83 そういうこと ページ36

少ししてから
ダニエルをそっと押し返し、
ごめんとだけ言って
練習室をあとにした。


好き。


そう言ってもらえるのは
嬉しいんだけど、
きっとみんな
なかなか見かけない日本人を見て
テンション上がってるだけなんだよ。







とぼとぼ歩いていたら
少し遠いところに
見覚えのある背中があった。
何やら電話してるみたい。



そっちに向かってる足を
どうしようが悩んでいたとき
彼は振り返った。





｢ミンヒョン…｣




いつもなら
お疲れ、と声をかけてくれるのに
今日は何も言わず通り過ぎた。


え？





｢ミンヒョン？｣






もう一度名前を呼べば
くるりと振り返って
ニコリともせずに






｢彼氏に怒られるよ｣








それだけ言って
また向こうに歩いていってしまった。




彼氏？



…私に？









｢彼氏って、どういうこと？｣




そう言っても
もう彼は振り返ってくれない。

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