NEVER

1 渡韓 ページ1

母国語じゃない言葉が
あちこちで飛び交っている。


でも私は
なんの不安もなく
その声を聞き取ってゆく。




隣には
長年付き添ってくれている
マネージャーが１人。







『韓国、久々ですね』

『たしかに』





私たちの日本語が
珍しかったのか
気に触ったのかわからないが
行き交う人々が
私たちのことをチラチラ見ている。







『それにしても突然でしたね、渡韓』

『まぁ、気分でしょ』

『…まだ、好きなんですか』

『そんなことないよ』







あまり触れられたくない話題に
つん、と触れられて、
私はついきつい言い方をしてしまう。


悪い癖だと思う。







マネージャーの名前はユリ。
日韓ハーフだ。


ずっと日本に住んでいたからか
韓国語より日本語の方が得意らしい。


なんて言いながら
英語も話せちゃうトリリンガル。







｢あの…Aさんですよね？｣




突然後ろから
私の名前が呼ばれた。


振り返ると
知らない女の子が２人立っていた。



…もちろん
韓国語で話しかけられている。






｢はい、Aですよ｣

｢ファンです！握手してください！｣






まさか韓国にも
ファンがいてくれるなんて。

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