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第一章【2】ページ2

『好き』

この言葉にどんな意味が込められているのか、俺はあまり考えたことがなかった。
別に気になる女子もいなかったし、付き合ってみたとしても気をつかえる程紳士的ではない、ということで部活に専念出来ていた。
だが、幼馴染みで部活仲間、そして親友と思っていたやつからまさか

『好き』

という気持ちが俺に向けられていただなんて。
それが『恋』の念が込められていただなんて。

＿＿＿この事実をどう受け止めたらいい？

「……別に付き合って、とか言わないよ。ただこの想いはいつかちゃんと伝えたかったんだ」

光一は俺に悪意を持ってこんなことを言っていない。そんなの分かっている。

急にしんみりとした空気になる。
今思っていることを言ったら気が楽になるかもしれない。
俺は口を開く。

「＿＿＿でも俺、光一の事嫌ったりしないよ」

「……え?」

「俺も多分光一の事好きなのかもしんねぇし…いや、俺とお前とでは『好き』の意味は違ってるかもな。

俺には『愛してる』の方がしっくりくるし」

「……!!!」

鈍感だった俺だからこそ言える。
光一のことを躊躇いなく『愛してる』と言える。好きじゃない。愛してるんだ。

「ということで､付き合っちゃいますか～!」

「……ん」

うつむきながら応える仕草が可愛らしい。

こうして俺達は付き合うことになった。