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「へぇ、尾形は記憶戻ってないんだ」
先程注文したフライドポテトをつまみながら、杉元が意外そうに呟いた。
杉元、白石、尾形は高校で同級生だったらしく、変な縁もあるものだなとその頃の話に花を咲かせていたら、それとなく「前の記憶」の話に移っていた。
「俺達も記憶が戻ったのは二、三年前だったからなぁ。ま、そんな焦ることないってことよ」
曖昧に頷く私に、白石はにぱっと笑ってポテトを押し付けてくるので、口を開けて咥える。しょっぱい。杉本は残りのコーラを啜り、何か考えるように視線を一点に停めていた。
やがて、こちらをちらりと見やったかと思うと、少し迷ってから口を開いた。
「Aは、尾形の記憶を取り戻したいのか？」
「……ああ、そのことなんだ……」
それから、尾形の「発作」について二人に話した。その原因が、恐らく過去の出来事にあるだろうということも。
「そういえばアイツ、高校の授業中に一回だけ体調不良で保健室行ってなかったっけ」
「確か歴史の授業中だったな……アレも、記憶が原因だったのか」
ううん、と白石が頭を抱える。杉本も腕を組んで考え込んでいるようだった。
「私は、尾形が過去の出来事にトラウマを持ってるなら、思い出さなくていいと思ってる。……むしろ、思い出さない方が良いとも」
「……うん、俺もそう思うよ」
杉元は思慮深く微笑んでこちらに向き直った。目元は穏やかで、その表情は何かを諦めたかのようにも見えた。逆に白石は、どこか腑に落ちないと言わんばかりに口を尖らせて目線を外している。
「白石にしては珍しいな、心配してるのか」
「そういうんじゃないけど、尾形ちゃんが一番気にしてるんじゃないかって思っただけ。アイツの事だし、察しが良くてすぐバレるんじゃないの？」
「……そこは、まぁ、どうにかする」
白石の鋭い意見に、確かに、と思ってしまった自分の計画性の無さが悔しい。自分は表情にこそ出ないが、動揺や気分の変動は、見る人が見ればかなり分かりやすい方だと思う。付き合いの長い尾形なら尚更。
「ノープランも悪くないけど、昔の仲間のよしみなんだし、いつでも頼ってよ」
ね、と白い歯を見せて、白石は電話番号を手渡してきた。心の内で、心強いな、と笑みを浮かべてそれを受け取れば「これでこの話はおしまい！」と強引に話を切り上げられた。
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−(プロフ) - わ〜！！！！そう言って貰えると励みになります！！！！！ありがとうございます！！！！！ (2021年10月29日 20時) (
レス) id: abbb997ccd (このIDを非表示/違反報告)
桜忌(プロフ) - めっちゃ好きです。これからも続き楽しみに待ってます！！ (2021年10月29日 1時) (レス) @page8 id: 542ce05019 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：− | 作成日時：2021年10月17日 22時
