笑う正論

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「証拠があるわけじゃないし、そもそも31条に関しては保障されてるのは図書館の権利だ。図書館が権利を行使しない事についての罰則規定はない」

「それに手口も巧妙だしね。館長代理がやったと判明しても故意とは断定し難いよ」

小牧教官も口を添えた。

「配架を間違えたって言えば通る話ですよねぇ。館長代理、着任して日が浅いじゃない？」

「図書館法第4章は内部監査規定がないのが弱点ですからね」

「それにあの館長代理、図書隊制度反対派の都議の人脈じゃない⁈証拠もないのにうっかり問題にしたら、図書隊の偏向を逆に攻撃されてたと思うわよ」

堂上班＋柴崎総出で説明すると、やっと笠原は理解したようだった。


「この案件は俺が預かったうえで司令に報告する。柴崎は回収した所在不明図書を所定の場所に戻しておけ。後日、堂上班が発見して戻した態で業務部に通達する。そのとき牽制ぐらいはできるように計らう」

言いつつ玄田隊長が腰を上げた。

「なお、この案件はこの場の6名以外への他言を禁ずる。以上解散！」



それから数日後、鳥羽館長代理宛に図書特殊部隊から通達が出た。

所在不明図書の発生率が例年に比べて非常に高いことと、発生した所在不明図書「特殊部隊が発見したことを報告し、配架ミスが原因と考えられるので必要に応じ部内に注意を促すよう勧告したものだった。

館長代理からは、配架ミスの報告があるので各員注意するようにという訓示が朝礼時に出たらしい。柴崎からの報告だ。

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