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「...お前、その状態でいたいのはわかるが、明日も訓練だ。早めにテントに戻せよ」
「へえ?堂上、俺の気持ちわかるんだ?堂上が相手役で考えてるのは、やっぱり笠原さん?」
「......何言ってんだお前。お前こそ、深瀬とどうなんだ」
「俺と深瀬さん?堂上のとこと違って、何もないけど」
「俺たちも別に何もない!」
「へえ?でもさ、彼女、顔も覚えてない堂上の事だけを頼りにここまで来たんだよ?なんか、こう、たまらなくなったりしない?」
「ならん。まず、あいつは女のカテゴリーには入らん」
「はいはい、そう言ってられるのもいつまでかねえ」
深瀬さんの背中と膝裏に手を入れて、持ち上げる。
俺と堂上が大声で話してたって起きなかったんだ。
よっぽど疲れていたんだろう。
堂上、早く素直になればいいのにね。
笠原さんの事、意識しまくってる癖に。
あの時見せてしまった、図書隊員としては間違った背中を追いかけてきてしまった彼女に、必要以上に厳しく当たって。
彼女がなりたい「正義の味方」にはなれないことを思い知らせて、彼女が自主的に図書隊を辞めるように願って。それでも残りたいというのなら、何があっても生き残れるように。
そう考えてたんだよね。
ばればれだよ、堂上。
そんなことを考えていたら、いつの間にかテント付近まで到着していて。
先輩たちにお姫様抱っこをからかわれる。
「堂上はお姫様で、小牧は猫ちゃんか!シシシ」
とは、某不思議の国の住人の猫に似た笑い方の進藤一正。
「猫ちゃん?」
「ああ、深瀬って、気まぐれで猫みたいなとこあんだろ?だから、猫ちゃん」
「笠原さんのお姫様は納得ですけどねぇ。じゃっ」
あの人にからかわれたら、半年はネタとして使われるから。
早く逃げてくるに限るんだよなあ。
なんだかんだ言われつつも、冷たい微笑みで振り切って。
深瀬さんをテントの中に入れて、自分のテントに帰った。
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るり(プロフ) - 絢さん» ありがとうございます!!ご期待に添えるように頑張ります! (2017年5月13日 5時) (レス) id: f6d4dd4d44 (このIDを非表示/違反報告)
絢(プロフ) - この作品、すごく好きでいつも読ませていただいてます!頑張ってください! (2017年5月11日 20時) (レス) id: 021a2c26af (このIDを非表示/違反報告)
無名 - こんにちは、堂上教官ファンです。作品すごくおもしろうです。 (2017年3月29日 15時) (レス) id: 30bcd37fb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るり | 作成日時:2017年3月4日 20時