24冊 ページ24
タスクの奥多摩訓練。
最後に待っているのは、野外行程である。
玄田隊長の監督する隊と、堂上教官の監督する隊の2班に分かれて、野営装備を全て1人で背負い、3日間に渡り山を登って野宿するという1番つらい訓練。
今はそれについての会議中。
「あーそれと、近郊の林業関係者からクマが出とるという報告が上がってるから、十分に注意するように」
この玄田隊長の一言で、野外行程に対する不安が増大する。
「クマッ！そんなの大丈夫なんですか？！」
即座に笠原が噛み付く。
「まあ、クマといっても、せいぜいツキノワだ。戦って勝てん相手じゃない」
「クマ相手に戦う？いや、勝てんの玄田隊長ぐらいでしょうが！」
「いや、そんな事もないぞ...？」
そう言って、どこかに視線を投げる隊長。
いや、まず戦うなんて発想が凡人には出てこないです。
「実弾の支給はありますか？」
さすが手塚。ちょっと顔色は悪いけど、考えがしっかりしてる。
「訓練場外での行程になるため、銃器自体を携行しない。いざというときは各人独力で対処のこと」
わあ何の荒行だそれ。野外行程、本当に生きて帰れるのか...。
会議が終わって、教官たちに呼ばれる。
こういう訓練の時はいつも体調の都合を聞かれるから、それだろう。
「体調はどうだ」
「いや、それは大丈夫なんですけど...」
「私もそれは大丈夫なんですけど...」
「クマ、だよね」
「はい...」
「大丈夫だ、実際にクマが出た事は一回もない」
と言われても。全然安心できない。
「まあ、とにかく出るかわからないクマの心配するより、野外行程の心配をしろ」
堂上教官のその一言で、お開きになった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るり(プロフ) - 絢さん» ありがとうございます！！ご期待に添えるように頑張ります！ (2017年5月13日 5時) (
レス) id: f6d4dd4d44 (このIDを非表示/違反報告)
絢(プロフ) - この作品、すごく好きでいつも読ませていただいてます！頑張ってください！ (2017年5月11日 20時) (レス) id: 021a2c26af (このIDを非表示/違反報告)
無名 - こんにちは、堂上教官ファンです。作品すごくおもしろうです。 (2017年3月29日 15時) (レス) id: 30bcd37fb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るり | 作成日時：2017年3月4日 20時
