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「ああーーーーーもうつっかれたぁー!」
春先の基地食堂には、新隊員の悲鳴や泣き言が溢れる。
夜になれば、疲れきってしまって愚痴る余裕などないからだ。
そして、この中で最も大きな声で愚痴っているのが、、、
「ちょっとあのクソ教官、あたしのこと目の敵にしてなぁいー!!」
そう、笠原である。
「クソ教官て......堂上教官のこと?」
「そぉよ!」
堂上篤図書二正。
先程笠原に腕立てを命じた「鬼教官」である。
堂上教官は、私と笠原が所属する、50名からなる教育隊の教官なんだけれど...
笠原と折り合いが悪すぎるのだ。
「あたしだけ!あたしだけよこんな腕立てくらってんの!他の女子がへばっててもあたしと同じ仕打ちしたことないわよアイツ!ハイポート男子と混ざって12位で一体ナニ文句があるってのよ!そんだけ結果出したんだから最後でコケても少しは大目に見たらどうなの!!しかもコケたのゴールの後じゃないよっ!」
「えー、でもそれはそんだけ期待されてるってことじゃないの?」
「そーだよ笠原。柴崎の言う通りだよ」
笠原と寮で同室の、柴崎麻子。
ファンクラブができるぐらいの美人だ。
「それにあたし結構あの人スキかも。ちょっとかっこよくない?」
「あ、そうだね、顔はかっこいい!!顔は!」
「顔はって深瀬、あの人なんか難点ある?」
「んー、身長?まあ、でも私よりは高いからいいけどねー」
「柴崎も深瀬も、目ー腐ってんじゃないの⁉何よあんなチビ!」
柴崎の身長は157cm。大抵の男より小さいカノジョになれる。
私も163cmと、まあ平均より高いぐらい。
対して笠原は170cm。男の中に混ぜても低い方には入らない。
問題の堂上は、目算で165cmあるかないかというところである。
「笠原は背で選り好みしてたらオトコ作るハードルますます高くなるよ」
そーそー、柴崎の言う通り。
ってか、
「笠原...」
「笠原後ろ...」
私と柴崎の優しい忠告があったにも関わらず、コンプレックスを突かれて怒った笠原は大声で怒鳴った。
「背で選り好みできないとしても少なくとも奴だけは論外よ、性格悪いし!」
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るり(プロフ) - 絢さん» ありがとうございます!!ご期待に添えるように頑張ります! (2017年5月13日 5時) (レス) id: f6d4dd4d44 (このIDを非表示/違反報告)
絢(プロフ) - この作品、すごく好きでいつも読ませていただいてます!頑張ってください! (2017年5月11日 20時) (レス) id: 021a2c26af (このIDを非表示/違反報告)
無名 - こんにちは、堂上教官ファンです。作品すごくおもしろうです。 (2017年3月29日 15時) (レス) id: 30bcd37fb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るり | 作成日時:2017年3月4日 20時