彼女から告げられた決意。 ページ15
「A、そんなところに居たら風邪引くぞ。」
「豹馬。今日も来てくれたんだ。」
「ああ。」
看護師にAは屋上にいると聞いてそこへ向かえば、フェンスにもたれ掛かって立っている彼女がいた。
「豹馬、私ね。手術することにしたよ。」
「ああ。母さんから聞いた。」
「そう。生きるために、私は手術してもらうの。豹馬が貸してくれた小説のヒロインが言ったんだ。私の人生は私のものなんだから、短いその時間の中でもがいて、未来を変えるためならなんだってするって。私もその子みたいに、強くありたいんだ。」
「A……」
振り返ったAの顔は、いつものかわいい笑顔ではなくて、決意に満ちた、あのとき見たAの横顔と同じ顔をしていた。
Aの足がふらついて、倒れそうになる。
慌てて抱きとめて、ベンチに座らせた。
「大丈夫か?」
「うん、ありがとう豹馬。私ね、まだちゃんと歩くのは大変なんだ。屋上まで来れたのも松葉杖のおかげ。手術が成功したら……やりたいこといっぱいある。豹馬の隣を歩いて色んなものを見てみたい。高校の最後の方でいいから、学校に行ってみたい。動物園とか水族館とか……病院に来る移動図書館よりももっと本がある大きな図書館に行ってみたい。もっと色んなものを食べたいし見てみたい。……もっともっとたくさん……豹馬と一緒にいたい。」
そう言うと、Aはポロポロと泣き出してしまった。
「本当は怖い。生きたいのに、泣かないって決めたのに、怖くて怖くて、全然眠れない。もう、一人ぼっちで泣く夜はイヤだよ……!」
「A……」
泣いている好きな女の子に、かけてあげられる言葉が見つからない。
些細な悩みなんかじゃない。
命がかかっている大きなことなんだぞ。
Aは俺の背中を押すために手術を受ける決心をしたと母さんから聞いた。
ただそれだけのために、Aは命をかけている。
俺の前で今まで弱さを見せず、お前は笑ってくれていたんだな。
A、お前は本当に綺麗だ。
そして、こんなにも愛おしい。
若き彼らの、まっすぐで大切な、告白と約束。→←立って歩き始めた強きプリンセス。
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桜花(プロフ) - きのこさん» おお!?そこに気づいてもらえたの嬉しいです!最初は早くに現れた王子様にする予定だったんですけど彼は自他共に認める足の速さを持つので、そこを活かさないわけには行かない!と思って書きました!いつもコメントありがとうございます! (2023年3月20日 12時) (
レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - お前のもとに誰よりも速くに辿り着いた王子様が、俺で。ここ！めっちゃいい！！足の速さの事もあって書いたと感じました！！🫶 (2023年3月20日 12時) (レス) @page22 id: fc65f8a88c (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - きのこさん» コメントありがとうございます!まさか千切くん九州男児とは……言われてみれば方言ないですよね（だから気づいてないのですけども）方言千切くんもちょっと見てみたいですけど! (2023年3月9日 12時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ほーい！東京近辺ね！！千切は方言とかなくて赤髪だからだから都会感あるからしゃあない！ (2023年3月9日 9時) (レス) @page20 id: fc65f8a88c (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - きのこさん» コメントありがとうございます!!ロマンを追い求めて作ってるのでもっと素敵になるよう、次の更新も頑張ります!! (2023年2月26日 17時) (レス) @page19 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年12月11日 17時
