嫌がらせ。 ページ18
「……アレ?ないなぁ…。」
「センパイ、探しもの……?」
「うん。プリンちゃんのキーホルダー……あっ。」
「あった…?」
「ううん、ない。……まあいっか。」
そう言ってAはポケットに拾ったものをこっそりしまった。
その隠したキーホルダーは誰かに踏み潰されたかのように酷い壊れ方をしていた。
Aはそのキーホルダーを本当に大切にしていたので、喉が痛くなるのを感じた。
そこから凪はAが物をよく探している場面を多く見るようになった。
毎日のように何かを探している様子に、少しおかしいと思い始めるようになった。
「痛っ……!」
「センパイ、どうかした……?」
「ううん、ちょっと靴ズレした。足マッサージしてから行くね。凪くんは先行ってて。」
そう言って、Aは背中を押すように凪を部室から出した。
「……」
部室の扉を、凪はジッと見つめていた。
「……っ、」
Aは靴からチリン、と何かを出した。
それは画鋲だった。
最近物を隠されたり、度を越した悪戯が頻繁にある。
どうしてかしら。
私はなにも、悪いことなんてしていないのに。
一体誰が何のために……?
***
「センパイ、帰ろ。」
「うっ、うん!帰ろうか!」
琥珀と瑠璃をお迎えに行っていたとき、センパイにふたりが抱きついて、センパイが抱きしめ返した時。
瞳が揺れた気がした。
今日は晩御飯をセンパイの家で食べる日だった。
瑠璃と琥珀の相手をして、二人が眠ったあとだった。
「…センパイ、最近お疲れ……?」
「凪くんは鋭いねぇ……確かに部活は忙しいし、大変かな。でもまだまだ頑張れそうよ、私。」
「…センパイの嘘ツキ。本当はすっごく疲れてるクセに。なんでそういう時も意地を張るのさ。」
ムスッとした凪くんに頭をワシャワシャ撫でられる。
「凪くんが今日は甘えさせてくれるの?」
「ん。」
「じゃあ少しだけ寝させて貰おうかな……帰る時間になったら起こして……ね……」
そう言ってセンパイは地べたに寝てしまった。
凪はAにそっと膝を貸してあげた。
男の膝枕なんて硬いだろうけど今はこれで我慢して。
その後、センパイに見送られて俺は帰路についた。
センパイは笑顔が上手な人で、本当は辛かったクセに、俺に気付かせることがなかった。
そして事件は起こってしまった。
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桜花(プロフ) - 使い古した絡繰り人形さん» コメントありがとうございます!!黒名くんと凪くん両方の作品読んでくださりありがとうございます!!こっちの作品はちょっと更新遅れてるのでなるだけ早く更新できるよう頑張ります!!応援本当にありがとうございます! (8月14日 12時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - コメント失礼します。「黒名くんにきゅんな毎日。」から来ました!面白すぎてつい一気読みしてしまいました。神ですか?いや、神ですね!?更新待ってます! (8月14日 10時) (レス) id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - ねう。さん» コメントありがとうございます!これからもハイクオリティ目指して頑張ります♡ (2023年1月14日 12時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 最推し…良い。。もう涙が止まらなかった。。かっこよすぎます好きですこの作品素敵すぎます(泣) 更新楽しみにしてます! (2023年1月13日 20時) (レス) @page23 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - Z𝐙zさん» コメントありがとうございます!!タイトルはめちゃくちゃ気合い入れて考えたので嬉しいです!!これからも頑張ります! (2023年1月1日 23時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年12月4日 10時