第八話* ページ9
「竜ちゃん、買ってきたよ!」
「ちゃんと買えたか?」
「バッチリ!」
今Aは竜胆と図工の時間で使う材料を買いに行っていた。
「作品出来たら一番に竜ちゃんに見せるね!」
「おう。」
***
「ただいま!」
「おかえり。作品、出来た?」
「うん!でもごめん、忘れてきちゃった…!部屋にランドセル置いてくるね!」
「あ、おい…」
「おっと、お帰りA。」
「ただいま蘭ちゃん!」
返事をして部屋に駆け込んでいったA。
絶ってぇなんかあったろ。
「竜胆、Aの様子何か変だな。何かあった?」
「分かんねぇ…話してくれるか分かんねぇけど…きいてみる。」
数十分後、Aの部屋にノックして入る。
そしたらベッドに横になっていた。
！これ…
Aは恐らく今日作っていたであろう作品をグシャグシャにしてゴミ箱に捨てていた。
「何かあったか?」
俺はAの勉強机の椅子に腰を掛けた。
「…」
「俺には何でも話す約束だろ。」
「…作った作品、皆に笑われた。」
まだAにそんなことしてんのか。
何でAにばっかそんなことすんだよ。
コイツが何したってんだ。
この前だって、俺や兄ちゃんがいたせいで好きな子に振り向いてもらえなかったという野郎どもがAをいじめた。
俺と兄ちゃんでシメたけど、Aの心にはまた大きな傷が出来ちまった。
「A、来いよ。」
両手を広げればAはそっと毛布から顔を出して俺にぎゅっと抱きついた。
「ごめんね竜ちゃん。約束、守れなくって。」
「そんな事で怒ったりしねぇよ。勿体ねぇとは思うけど。でもさ、不器用なのによく頑張ったじゃん。綺麗に出来てて、俺は好き。兄ちゃんにも見せてこいよ。」
「うん……竜ちゃん。」
「何?」
「ありがと。ちょっと元気出た。」
「ああ。後で一緒に菓子食おうぜ。」
「うん。じゃあ蘭ちゃんにも見せてくるね。」
A、きっと辛かったんだろ。バレバレなんだよ。
お前のこと、いっつも見てんだから。
Aにこんな思いをさせた奴等、絶ってぇ許さねぇ。
「蘭ちゃん、A、頑張って作ったの。」
「へぇ。上手いじゃん。流石俺の妹。」
「えへへ。」
***
Aと菓子食ってる時、俺は聞いてみることにした。
「A、今何か欲しいもんあんの?」
「でっかいクマのぬいぐるみ！」
「ぬいぐるみか…」
「竜ちゃんは?」
「そーだな…」
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年9月4日 18時
