第三十話 ページ33
「蘭ちゃん！おまたせー!」
学校帰り、蘭ちゃんの方へ手を振って走る。今日は約束してたデートの日だからね。
蘭ちゃんはヒラヒラと手を振り返してくれた。
隣りにいるのは彼女?
「じゃA来たから行くワ。」
「ホント、彼女より妹優先するとか酷い男〜。てかAちゃん、かわいい子じゃん。」
と言いつつその女は内心、Aのことをちんちくりんだと思っていた。その証拠に、Aを見て微かに鼻で笑っていたのだ。
カッチーン。
「蘭ちゃん、行こ!」
「ん〜?行くかぁ。」
蘭ちゃんの腕に抱きついて、早くこの人から離れるよう促す。
蘭ちゃんがよそを向いた瞬間を見計らって、Aはその女にベッ、と舌を突き出した。
七海に蘭に彼女が出来るたびに悪態をつかれるという相談をしたとき、舌でも突き出しとけと言われたためである。
そしたら女は何とも言えない顔をして帰っていった。
蘭ちゃんはモテモテだからすぐ彼女出来ちゃうけどこういう人よくいるからなぁ…蘭ちゃんは私が守らないと!!
七海ちゃんが彼女だったらいいのに。
ヨリ戻さないの?って聞いたら、笑いながらないない、って言ってた。
よそを向いていた蘭だったが、Aが何をしているのか何となく分かっており、一人こっそり笑っていたとか。
***
「蘭ちゃん、これ超美味しい!」
「だろ?」
二人でカフェに来てます。蘭ちゃんのお気に入りの場所なんだって。そこのモンブランがすっごく美味しい。
「今度竜ちゃんとも来たいな〜…」
「オイオイ、今は蘭ちゃんとデート中だろ〜?」
「うん!」
Aはどこにいても誰といても竜胆だな。
「そういやもう夏だけどAどっか行きたいトコあんの?」
「海行きたい!」
「珍しいな。海好きだったっけ?」
「最近行けてないから久々行きたい!」
「ん。了解。」
***
「A、もう帰らねぇ?」
「ちょっとだけ待って!あと少しで取れそう!」
二人であの後ゲーセンに来て、蘭ちゃんとプリクラ撮った。
蘭ちゃんが盛れるポーズ考えてくれて二人で加工して楽しかった。
そこから蘭ちゃんが私にウサギとクマのぬいぐるみ取ってくれた。蘭ちゃん器用だから、どっちも一発。
私がやってるUFOキャッチャー、めっちゃムズいヤツ。
でもそのぬいぐるみが超可愛くて竜ちゃんにどうしてもプレゼントしたいから、こうやって粘ってる。
「やった!取れた!」
帰ってプレゼントしたらちょっと困ってたけど笑いながら受け取ってくれたよ!
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年9月4日 18時
