番外編�� ページ32
「Aさん、お邪魔してます!!」
「はい。ごゆっくり。」
今日も10人くらい引き連れてリビングで昼から呑んだくれる。俺らの舎弟みたいな奴ら。Aに会うとちゃんと挨拶する。俺も兄貴もあんまりAには近付けさせないようにしてる。
***
夕方4時に兄貴が部屋から起きてきた。
「竜ちゃん、そろそろ片付けようよ。」
Aも部屋から出てきた。
…まずい。
寝起きの兄貴はめちゃくちゃ不機嫌なのでこういう時オレはいつもトイレに逃げる。
「A、お前も来い!」
「え?」
Aを引き連れてトイレに籠る。Aの口を手で塞いで時間が過ぎるのを待つ。
とんでもねぇ絵面かもしれねぇが仕方ねえ。
苦しくなってきたのかAが俺の肩をトントンと叩く。
振り返ってAの口を塞いでいた手を離した。
「ぷはっ…どしたの?」
「シッ!寝起きの兄貴は機嫌が悪りぃんだよ、お前も知ってるだろ?だからこうしてトイレに隠れてやり過ごすのが一番賢いの。」
「なるほど。確かにそうね。」
しばらくして俺はAを後ろに庇いながら手を引いて、リビングに向かう。
リビングをそっと覗くと全員パンイチで正座させられてた。
「ね、どうなってる?」
俺がAの前に立っていて、Aには状況が分からない。ぴょんぴょん跳ねたり背伸びをして状況を把握しようとしていた。
「お、お前は見なくていい!!」
「わ!?」
慌てて両目を塞ぐ。
野郎共のパンイチ姿なんてAに見せて溜まるか!!
にしても兄貴マジで機嫌悪りぃな。説教してるし。
よし。兄貴の好きなモンブランを買ってこよう。
「A、モンブラン買いに行こうぜ。」
「ご機嫌取りね?いいよ。蘭ちゃんは一度怒ると大変だしね。」
流石A。物分りがいい。
***
「お前も何か選べよ。好きなの買ってやる。」
「ホント？じゃあショートケーキ食べたい。」
「ん。分かった。」
二人でケーキ屋さんに来て、蘭ちゃんにモンブラン買いに来た。そしたらショートケーキ買ってくれるって！
それだけじゃなくてイチゴのパフェまで奢ってもらっちゃった。
「うま〜!竜ちゃんは食べないの?」
「今はそんなに腹減ってねぇ。甘いもんは好きだけどさ。」
「そっか。じゃあ一口あげるよ。はい、あーん。」
竜ちゃんは少し周りを気にしてたみたいだけど食べてくれた。
「ん、甘い。」
「でしょ?」
兄貴の不機嫌は面倒だけどAと過ごす時間は悪くねぇな。
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年9月4日 18時
