番外編�� ページ31
「蘭ちゃん、それでね……ん?竜ちゃん!?と誰!?」
「A…」
「おー竜胆に鶴蝶、どした?」
「酷い怪我…早く上がって!」
「何か事情は知らんけど…鶴蝶は俺の部屋行こーな。」
「お、おう。」
***
「竜ちゃん、一体どうしたのこれ…」
Aは俺を手当しながら、不安げに聞いてきた。そりゃそうだよな、俺喧嘩して帰ってきてもほぼ無傷だし。
話さないと、Aがずっと不安なままだ。
「…鶴蝶にトレーニング付き合えって言われたから、ジムでベンチプレスをどのくらい持ち上げられるかの勝負と思って意気込んで行ったら、ヤクザの事務所に乗り込んで行って、いきなり殴り出した。一緒にいた手前、殺される覚悟で鶴蝶について必死で暴れ回った。」
「ヤクザの事務所に…!?」
「アイツのトレーニングには二度と付き合わね…」
そう言いかけた時だった。Aにキツく、抱きしめられた。
「無事で、良かった…!!絶対怖いよ、そんなところ…竜ちゃんが生きてて良かった…。竜ちゃんに何かあったら、私…」
「大袈裟なヤツ。」
なんて強がってるけど、ホントはスゲェ怖かった。
殺されるかもしれねぇって本気で思ったし、Aの元に帰れなくなるかもしれないとも思った。
でもAを置いてきぼりにしたくねぇから、今俺はここに居る。
抱きしめているAも、抱きしめられている俺も、震えてる。
俺にとってはAはなくてはならない存在で、Aもそう思ってくれてるような気がして、嬉しくなる。
Aを前にすると、俺は単純になる気がする。
俺のこと本気で心配してくれてるAが、俺は愛しい。
「…でも許さないんだから…」
「え?」
そう言うとAは兄貴の部屋をノックして、乱暴にドアを開けた。
「トレーニングだなんて言っておいてヤクザの事務所に連れて行くなんて…鶴蝶君絶対許さないんだから〜!!」
「わ、悪い……」
Aが鶴蝶の胸板をポカポカと殴る。
179センチと155センチの為身長差は大きく、Aは背伸びしていた。
女の子に免疫のない鶴蝶はどう対応したらいいのか困っており、Aの可愛さに赤面していた。
「私じゃなくて竜ちゃんに謝って!!」
「竜胆、悪かった…」
「別にいいよ……」
Aが怒ってくれたしな。
俺のことで鶴蝶みてぇなコワソーなヤツにまで怒れるAに何だか嬉しくなっちまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜花 | 作成日時：2022年9月4日 18時
