第三話 ページ4
「蘭ちゃん!ただいまー!」
「んー、おかえりA。」
帰ってくるなり兄ちゃんに飛びつくA。
ホント兄ちゃん大好きだよな。
「蘭ちゃん!!遊ぼー!」
「んー。何して?」
「お人形!!私がリコちゃん、蘭ちゃんはハルくんとひまわりちゃんね!!」
「お前ホントリコちゃん好きなー。いーよー。」
とかいうなり二人はAの部屋に入っていった。
***
Aはリコちゃんを動かしながら、ハルくん大好きっ!と嬉しそうに喋る。
俺はAが喜ぶように、「俺もだよリコ。」と言ってあげた。友達の人形を喋るときは裏声を使って。
Aがあまりにもハルくんが好きなもんだから、俺はからかってやりたくなった。
「次、ハルくんちに行くところね〜!」
Aはハウスを持ってきた。
「ん、準備するからちょっと待って。」
「?」
そういうと俺は人形の衣装をベリッと外して、ベッドに寝かせた。
「ん、いいよ。」
「ハルくん、遊びに来たよ〜!」
Aがハウスのドアを外側からあけて、内側に回り込んできた。そしたらまさか家の中にリコ以外の女の子(ひまわりちゃん)がいるではないか。
何故二人で寝ているのか、Aにはその意味がわからないが、自分以外の女の子に気があるということだけはわかった。
「ハルくん?ひまわりちゃん…?」
「ハルくんはワタシが好きなのよ!アナタじゃないワ!」
なんて裏声で喋る蘭。
「ハルくん…ひまわりちゃん…」
Aの目からじわ…っと涙が溢れて…
***
「うわああああん…!!」
「!!」
部屋で漫画を読んでいた竜胆の肩がビクッと揺れる。
Aの声…?何だ?
「A?入るぞ。」
ドアを開けた先でみた光景。
まず大泣きするA。
そして平然とした顔した兄ちゃん。
しかも兄ちゃんの持ってる人形は2体とも服を脱がしている上にベッドに寝かしてある。
Aの手には主人公の人形。
何となく察しがついた。
前にAが寝た後に兄ちゃんがドロドロ系の恋愛ドラマ見てた気がする。
「何やってんの兄ちゃん。」
「人形ゴッコ」
「ただのゴッコ遊びでここまで泣かねーよ。」
「もう蘭ちゃん嫌い!」
Aが泣きながら部屋を出ていった。
「あーあ…兄ちゃん、アイツ泣き虫なんだからあんまからかうなよ。多分また俺の部屋でグズってるぞ。」
「Aがカワイイもんでからかっちまうんだって。」
「いやあれはやりすぎだろ。」
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年9月4日 18時