第二十九話 ページ30
「ソウヤ君、これこっち置いとくね。」
「あ、うん。ありがとうAちゃん。あ、Aちゃんこれもお願い。」
そう言うと、ソウヤ君の手が触れた。
「あ、ごめんね、ソウヤ君─」
そう言ってソウヤ君を見ると、これ以上ないくらいお顔が真っ赤になってて、なんだか釣られて私まで真っ赤になっちゃった。
「あ、こっちこそごめん!」
「ううん、いいの。」
お互い真っ赤になっちゃって、俯く。
…なんか、擽ったい。
この前の甘えたな竜ちゃんも可愛いけど、ソウヤ君も可愛いと思ったんだ。
素直で、優しくてかわいいソウヤ君。
彼は私が初めて秘密を打ち明けた人。
私の中で、ソウヤ君の存在は確実に大きなものになっていっているのがわかる。
蘭ちゃんや竜ちゃん以外の男の子は怖くて避けてきた。
二人は不良だけど、私の味方だもの。
ソウヤ君は不良なのに、家族でもないのに、怖くないや。
不思議。
***
翌日、転校生が来た。
隣街から引っ越してきた松本七海ちゃん。
「ねね、あんた多分灰谷兄弟の妹でしょ?」
急に話しかけられてビックリした。それに、兄さんの蘭ちゃん達の話題を持ちかけてくる女子はちょっと怖いし。
「そ、そうだけど…」
「やっぱり!蘭から話聞いてた!会ってみたかったんだよね〜」
「蘭ちゃんのお友達?」
「ううん、元カノ。」
「も、元カノ!?」
「そそ。まー何かお互い合わなくね?みたいな感じでフラッと別れたんだけどね〜」
一応連絡先はお互い残ってるけど、なんてケラケラ笑ってる。蘭ちゃんって結構女の子をとっかえひっかえしてたけど…
(今まで何人か女の子家に来てたし、この前みたいなこともよくあった)
七海ちゃんには私会ったことないな…なんて思ってたら。
「あ〜、でもでも、」
こそっと囁かれてAは赤面したんだとか。
それからAは、七海とあっという間に仲良くなり、辛かったことも打ち明けられるようになった。
「多分Aが可愛いから気に食わないんだよ。だからAは、もっと自信持ちな!」
「ありがとう…」
「だから、嫌な女にも屈しちゃ駄目だかんね!」
「頑張るよ!」
「あ、それとさ、Aってさ、」
「何?」
「河田と付き合ってんの?」
「え、ソウヤ君…?」
「そ。よく噂聞くけど。二人でよく行動してるんでしょ?」
「そうだけど…」
「でも河田の方は間違いなくAのこと好きだと思うけどな〜付き合っちゃえば〜?」
「からかわないで〜!」
「ごめんて」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜花 | 作成日時：2022年9月4日 18時
