第二話 ページ3
「兄ちゃん……俺ら先行くから！起こしたんだから後で文句言うなよ！」
「蘭ちゃん、行ってきまーす」
そう二人で声をかけると、毛布から手を出してひらひらと振る蘭。
あ、これ絶対今日仮病使うやつだ…なんて思った二人であった。
***
「竜ちゃん、それでね、」
「おっはよー！竜胆くん！」
「……ああ、はよ。」
女の子たち複数人が竜胆に話しかける。
彼女たちはAが見えていないかのように竜胆にばかり話しかける。
いや、見えてないはずないのだ。
明らかにAの手を掴んで竜胆から引き離したのだから。
ムッ……ともなるが、仕方がない。こんなに大人数で押し寄せられてどうすればいいかなんて、Aには分からないのだから。
「昨日のテレビみた〜？」
「見てない。興味ねぇ。……退いてくんない？俺今Aと話してたんだけど。」
「え〜？Aちゃん居たの？」
「とぼけんなよ。Aの腕掴んでたろ。」
「そんなことないよ〜」
「それにAちゃんみたいな地味な妹より私達の方がカワイイもん！Aちゃん竜胆くんや蘭くんみたいに背も高くないし華やかじゃないし！」
「ていうか蘭くんは〜？」
「兄ちゃんは休みだよ。そうやって俺やA使って兄ちゃんに近付こうとすんのやめて。兄ちゃんもお前らのことそういうやつだって分かってるし。それに俺はお前らみたいなヤツよりちっちゃくて素朴で可愛いAと話したいって言ってんだろ。いい加減分かれよ。分かったらあっち行って。」
女の子の群れをかき分けて何も気にせずこっちへ来る竜ちゃん。
竜ちゃん、かっこいい…！！
後ろから、そんな〜竜胆くーん！なんて声が聞こえる。
もちろん私を睨む子もいるし、蘭ちゃんのことが好きな女の子は竜ちゃんを睨む。
ほとんど私が睨まれるんだけどね。
「A、ごめんな。話の続き教えて。」
「うん！」
やっぱ竜ちゃん好き!!
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年9月4日 18時
