第十四話 ページ15
Aはそれから、看護婦さんに教えてもらった謝り方で、遺族のもとや総長の親族のもとへ謝りに行った。
「アイツがどんなに苦しかったのか分かっているのか!」
「君と話すことはもう無いんだ!帰ってくれ!」
どちらの家に行っても、厳しい言葉で追い返された。
仕方ないのだ。こうなるのがきっとふつうなんだ。
Aのもとに、蘭と竜胆から手紙が届いていた。
***
Aへ。
元気か?俺はまぁまぁ。蘭ちゃん居なくて寂しいだろ?
また出てこれたら蘭ちゃんと遊ぼうな♡
それと最近学校どうだ?変なヤツには気を付けろよ。
A、いっつも手紙ありがとな。
すぐ返事かけなくて悪りぃ。
一人で寂しいよな。俺らが帰ってこれたら、うんとお前のワガママに付き合う。いっぱい甘やかしてやるから楽しみに待ってろ。
蘭、竜胆
***
蘭ちゃん、竜ちゃん…
一人は辛くて、寂しいよ…
だってこの家、広いんだもん。
たまにふたりがいないことを忘れて、話しかけそうになる。
その度に、家に一人しかいないことを思い出す。
眠れない夜に安心させてくれる竜ちゃんも、夜に怖がっていたら、からかいながらお話してくれる蘭ちゃんもいない。
二人に心配かけたくなくて、私は手紙に嘘ばかりを書いた。
友達ができたとか、毎日が楽しいだとか。
ぜーんぶ、嘘なのに。
竜ちゃん。蘭ちゃん。
お願いだから、早く帰ってきて。
***
「A、最近楽しいってよ。」
「良いじゃん。俺らがいないから女子も必要以上に絡んで来ねぇだろ。」
俺らが知っているA。楽しそうで、元気そうなA。
けれど本当のAは、真逆の方を向いていた。
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年9月4日 18時