第十一話 ページ12
「よぉ、この間は良くもやってくれたなァ。」
「あ？」
街を歩いてた時、特攻服着た男に話しかけられた。
あー、この前兄貴とシメた奴らじゃん。
13歳になった竜胆はあちこちで喧嘩ばかりしていた。
勿論、兄の蘭も。色んな奴らに顔を覚えられるようになった。
「もうとっくにくたばってんのかと思ってたワ。」
「へっ、言うじゃねーか。」
さっさと片して帰ろ。そう思ったときだった。
「竜ちゃーん！来てたんだね！一緒に帰ろー！」
ゲッ…！
「A…！」
なんて間の悪い…！
「あ？んだあのガキ。ガールフレンドかい坊や?」
「うるせぇよ。」
竜胆はAを危険な目に合わせないため、速攻で片付けなければならなかった。
「あのガキやれば早いんじゃね?」
下品な笑いでAに近づこうとする野郎がいた。
「チッ…！A！早く隠れ…」
「お前ら、誰の妹に手ェ出してんの?」
Aをさっと抱き上げた人物は…
「蘭ちゃん！」
「そ、蘭ちゃんの登場でもう大丈夫だぞ〜。しっかり捕まっとけ。捕まってたら大丈夫だから。」
「はーい。」
「ん、いい子。早く帰って昼寝しようぜ。」
「うん。」
取り敢えずAが無事で安心する反面、
「チッ、結局兄ちゃんが良いとこ取りかよ…!」
少しつまらなかったみたい。
***
「こんなもんだろ。兄貴、そっち終わった?」
「んー、終わったぞ。さ、帰んぞ。」
「蘭ちゃん、助けてくれてありがと。」
「Aの為ならお安い御用。」
Aの手の甲にキスを落とす蘭。
「何か蘭ちゃん王子様みたいでドキドキした!」
「だろ?Aは蘭ちゃんのかわいい姫だからな〜」
「えへへ!」
「…あのさ。」
「何?竜胆。」
兄ちゃんさっきからニヤニヤしやがってムカつく…！！
「俺もいるんだけど。あと兄ちゃんニヤつくのやめて。」
「ぷっ、男の嫉妬は見苦しいぞ竜胆。」
「は!?そんなんじゃねぇし！」
「はいはい。A、もう一人の頑張った王子様にご褒美あげて。」
「うん!」
Aは竜胆の首に手を回してぎゅー！っと抱きついたかと思うとほっぺにちゅ、と音を立ててキスをした。
「竜ちゃん、心配かけてごめんね。それとありがと。」
「…！！おう…」
「うーわ竜ちゃん顔赤…」
「兄ちゃんマジでからかうのやめろ！！」
3人で話していたところを、遠くから狂極の総長、副総長が見つめていた。
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年9月4日 18時
