No.21 ページ26
放課後、帰ろうとすると…
「えっと…AAだよな…俺、上鳴電気！実はさ、俺お前の顔超好みなんだよな！｣
「…どうも。｣
その時の上鳴の心情はというと…
えっ、興味なし？ガードが硬てえのか、鈍感なのか…
まあ、ちょっと積極的に行ってみるか！
「てことでよろしくな！｣
「…？｣
俺が手を出すと、Aはキョトンとした顔で俺を見る。もしかして…
「握手、わかんねえのか…？｣
「今まで…したことも、しようと言ってくれた人もいなかったから…｣
相変わらず無表情だったが、俺にはどこかに感情が隠れているとしか見えなかった。
「そっか！握手ってのは、自己紹介の後に、”よろしく”の意味を込めてするんだぜ！｣
「…｣
あれっ！？黙りこんだ！？もうどうしたらいいかわかんねえ…！
「…よろしく…です。｣
キュッという音と共に、Aは俺の手を握ってくれた。
「ああ！よろしく！｣
「では…私はもう帰ります。さよなら。｣
「また明日な！｣
俺は峰田に話しかけた。
「…それにしても、A可愛かったな〜！あんな可愛い子が一緒のクラスとか最高〜！！｣
「オイラも思った！それにスタイルも良いし！｣
「あ〜そうそう峰田！さっきAと握手したんだけどよ、握力の時のイメージと違って、白くて小さい手だったし、力も弱くてすげえ柔らかかった！｣
「ええ！？ずるい！オイラも握手したかった！｣
すると廊下から耳郎と蛙吹がやって来て…
耳郎が呆れ顔でこう言った。
「あんた達ねえ、あの子はどっからどうみても女の子じゃん。あれは個性なんだから、華奢なのは当たり前でしょ？｣
蛙吹は、
「峰田ちゃんと上鳴ちゃん、その発言、ちょっと、いや、かなり引くわね。それAちゃんが聞いたらきっとドン引きよ。｣
言ってることは最もなんだが。
「可愛い子を見たら声をかけずにはいられない！それが俺と峰田だ！なっ！｣
「そうだな！｣
もはやこの二人には何を言っても通じない。それを痛感した耳郎と蛙吹であった。
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作者名：桜花 | 作成日時：2018年9月28日 17時
