泡瀬くん大好き子犬ちゃん！ (ページ8)

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第８話ページ8

A組はこの前、USJで敵に襲撃されたそう。
そんな危険な状況下でも行われる体育祭。

選手宣誓も終わって、障害物競争が始まる前のこと。

物間君が「第一種目と言った時点で予選段階から極端に数を減らすとは考えにくい。おおよその目安を仮定してその順位以内に入ることを前提に後方から個性や性格を観察する｣という案を提案した。

洋雪や塩崎、骨抜、鉄哲はその策に賛成しなかった。

もちろんAも。

「物間くん、A組はこの前USJで敵に襲撃されたじゃん…B組より強い子いっぱいいるよ…！そんな子達相手に手加減してこの後からも勝てるとか本気で思ってんの…！？私は反対だよ！｣

「ああ。別に強要したりしないよ。ただね、A。これは相手を蹴落とすシステムの競技じゃないか。そんな競技なのに…君は真面目で忠実的というか…いい子すぎる。そんなんじゃそれこそ君も勝てないんじゃないかい？｣

「…！！もう知らない！勝手にすれば！｣

Aは怒って向こうにいってしまった。

「おい、A…！わりぃ、俺Aんトコ行ってくるわ。｣

「ああ。頼むよ。｣

──
「絶対負けない、皆倒すの。ここで上手くいかなかったら私…もう誰にも負けられない、勝つしかないのよ私は…｣

Aは離れたところで小さい声で呟いていた。

「A、お前の気持ちはよく分かるけどよ、一旦落ち着こうぜ。｣

「洋ちゃん…うん、ごめん。でもね、わたし洋ちゃんに負ける気ないからね。でも洋ちゃんは大事だから、協力できる場面が他の種目であったら、助けるよ。｣

「ありがとな。俺も負けねぇ！頑張ろうぜ！｣

わしわしと頭を撫でればAは笑った。

「！うん！｣

嬉しそうにとびきりの笑顔だった。

なぜか握っていた拳と顔には汗が滲んでいた。