第３話 ページ3
B組は結構個性的な奴らの集まりだった。
「ていうかよぉ、泡瀬…｣
「ん？なんだよ。｣
急にB組男子が俺の肩に手を置いて声を小さくして話しかけてきた。
「Aとはどういう関係なんだよ。｣
「幼馴染みだよ、てか聞いてどうするんだよ。｣
「…うわ、歯痒い関係って感じだな…｣
「応援するぜ、泡瀬。｣
「は？｣
耳のいいAは、女の子たちと一緒に会話していても、その会話はすべて聴こえていた。
…洋ちゃん…
──
「洋ちゃん、帰ろ！｣
「おう。｣
一緒に帰るとき、Aは洋雪と手を繋ぐ。
洋雪は年頃の男の子であるために、茶化されたくないわけで…
周りに誰もいないかキョロキョロしている。
「…｣
Aは一瞬寂しそうに顔を歪めた。
大人になってしまったら、皆の前で手を繋ぐことも許されないの？私は、あなたと一緒にいると、変？
「ん？どうかしたか？A。｣
洋雪がパッとこっちを向いたので、Aはきゅっと唇を噛み、一瞬で笑顔を作った。
「ううん、何でもないわ。ねねっ、あそこのクレープ食べていこっ！｣
「おう。｣
Aは嬉しそうに腕に抱きついた。
──
「お金…足りない…｣
今日そんなにお金持ってきてなかったんだった…
「はぁ…しゃーねぇな、俺が払ってやるよ。｣
「ほんと！？｣
Aは嬉しそうにしっぽを振った。
「おいし〜♪｣
「あっ、A、クリームついてる。｣
「えっ、ほんと？｣
「ああ、動くなよ。よしっ、これで大丈夫だ。｣
「ありがと。｣
「お前は本当に手のかかるやつだなぁ…妹みてぇ。｣
ガシガシと頭を撫でられる。
でも、幼馴染みだったら普通の女の子よりも距離感が近いでしょ？
洋ちゃんが離れていくくらいなら、私はこれ以上の関係を求めないわ。
…どれだけ自分の胸が痛くても。
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作者名：桜花 | 作成日時：2021年5月9日 12時
