第１３話 ページ13
「おい、こいつヤベェよ…！！退却だ…！｣
敵は戦闘の末、逃げていった。ヒーローならば追わなければならないが、今許されているのは最低限の戦闘だけだ。
「はぁ、まいた…｣
疲れからAは倒れた。怪我が酷い。子どもの、しかも女の子にここまで手をあげるとは、酷い話だ。そのAを見たB組の友だちがAを連れていってくれた。
無事だった子、負傷した子、どちらであっても連れ去られずにすんだ子たちは合流した。
──
｢A…！！大丈夫か…！！｣
｢洋ちゃん、無事だったのね、よかった…｣
洋雪は駆け寄ってきてAを抱きしめた。
…スン。
…嗅いだことのない匂いがする。
女の子らしい甘くてなんだか不思議な感じ。
誰の匂い…？あの子かしら。
…なんか、や。
───
神野の事件。オールマイトの引退。多くのことが重なって、頭が追い付かない。
しかも全寮制になるなんて、思ってもいなかったよ。
──
｢…スン、スンスン。｣
｢なんだ？｣
｢洋ちゃん、匂い変わった。｣
｢そうか？自分じゃわかんねぇけど。｣
｢浮き足だった匂い。…好きな女でもいるの。｣
｢えっ、い、いやぁ…そんなことねぇけどよ…｣
｢嘘つき。そうやって嘘ついて笑ってれば。｣
｢なんだよ…｣
｢洋ちゃんのバカ！幼馴染みのよしみで隠しごとなしねって言ったじゃん！｣
｢はぁ！？それちっさいころの話だろ！？こんぐらいの年頃の男だったら隠しごとのひとつやふたつあるだろ！！｣
｢もう知らない！｣
｢…なんだよ…｣
──
｢あーあ、やっちまったな泡瀬｣
｢はぁ？｣
｢あれ隠しごとされて傷ついたもあるけどあれだ、嫉妬だ。可愛い幼馴染みなのにな〜｣
｢そーそー、付き合わんのだったら俺にくれ。｣
｢お前らなぁ…｣
本当にA、どうしちまったんだ？
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作者名：桜花 | 作成日時：2021年5月9日 12時
