第２話 ページ2
「お前はなんでいっつも朝こんなに弱いんだよ…｣
「毛布というふかふかのお布団が私を放してくれない…｣
「温かくて出たくないだけだろーが。｣
「バレた…もー朝から洋ちゃんが怒るから疲れた〜！洋ちゃん抱っこ！｣
「嘘つけ！！お前(個性の特性上)体力俺より上だろーが！｣
「ちぇっ、最近洋ちゃん冷たいし。Aちゃんは寂しくて死んじゃうよーだ。｣
コイツ…高校生にもなって幼馴染みとはいえ男女がんなこと人前でできるか！
ふたりは幼い頃からずーっと仲が良く、中学生が終わるまで、洋雪は正しい(？)距離感が分からなかった。
いっつもAは遅くまで寝ていて、何度も遅刻しそうになった。
その度にAを抱えて学校まで走るのが洋雪の役目だったのだ。二人が中学生のとき皆勤賞を獲れたのは紛れもなく洋雪のおかげだった。
Aはだいたい寝坊するが、イベントごとの日は必ず更に遅く起きる。
何故なら次の日が楽しみすぎて興奮して全く眠れないからである。遠足の日とかね。
──
「…ドアでか。｣
「そうだね〜早く入ろ入ろ♪早く友だち作りたい〜！洋ちゃん、私がぼっちでもぼっちじゃなくても私に構ってね！｣
「ヘイヘイ。｣
「絶対だかんね！｣
「分かってるって。｣
ドアを開けるとAがグイグイと背中を押してくる。
…ていうか…
「お前の席何で俺の後ろなんだよ！苗字的に違うだろうが！｣
「ママが私が心配だって言ってた。要望に書いたんだって。まさか本当にその通りにしてくれたとはね〜｣
「おばさんが…｣
「でもママ助かったよ！｣
「何でだよ？｣
「これで安心して洋ちゃんを盾に寝られる！もし読むところと答えが分からなくてもこそっと教えてくれること間違いなし！！｣
「人をなんだと思ってんだよ。絶対教えてやんねー｣
「じゃあいいもん！今やってるスマホゲームのサポートやってあげない！｣
「くっ…！！｣
洋雪の好きなものはスマホゲーム。
最近始めたスマホゲームはレベリングも時間がかかり難易度が高い。しかしそこが面白いゲームでもあり、フレンドのサポートはかなり重要なゲームでもある。
Aは洋雪よりもレベルを上げているため、彼女のサポートはかなり重宝している。
「わぁったよ、助けりゃいんだろ。｣
「そう！ありがと！｣
ボソッと「…単純なヤツ。｣って呟けば、
「聴こえてるよ！！｣
そうだった、コイツ、耳いいんだったわ。
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作者名：桜花 | 作成日時：2021年5月9日 12時
