第五訓 ページ6
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とうとう首根っこを掴まれ捕獲される。
「ひい〜〜〜〜あれには深いようでとても浅い事情があるんです〜〜〜」
そのままひきずられてズルズルと長い廊下を進んで行けば、だんだんあたりが騒がしくなっていく。
ある一室の前まで来て土方さんはいきなり足を止めた。
「お!やっと来たなAちゃん!主役がいなくちゃはじまるもんもはじまらん!」
状況を飲み込めていない私に
「お前の歓迎会だとさ」
土方さんはそう教えてくれた。
なんだか照れ臭い、自分の為に何かをしてもらうのなんてとても久しい事だから……
「ささ入った入った!」
近藤さんに後押しされ部屋に入った私は激しくまばたきを繰り返す。
部屋の中はドンチャン騒ぎのおおにぎわい、主役の登場だというのに誰ひとりこちらには目もくれない。
そこは昼前だと言うのに酔っ払いで溢れていて、笑い声が響く部屋で私はただ呆然と立ち尽くすだけ。
「はい注目〜!聞いて驚け野郎ども!
今日は新しい仲間を紹介しちゃいま〜す!!」
右を見ても左を見ても見事に酔っぱらいしかいない、近藤さんの話を聞く者は誰もいない。
「トシ」
「ああ」
カチャリ.......
土方さんはどこからともなくバズーカを取り出し躊躇なくそれをぶっ放す。
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!
爆煙が晴れると隊士は全員ビシッと正座をして整列していて、近藤さんは何事もなかったかのようにテイク2をはじめる。
「聞いて驚け野郎ども!今日は新しい仲間を紹介しちゃいま〜す!」
「……AAです、はじめまして」
そう言って軽く会釈すると、はじめポカーンとしていた隊士達は一斉に雄叫びをあげた。
「女だアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
あまりの迫力に私は思わず後ずさる。
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作者名:百瀬 | 作成日時:2020年7月11日 0時