嘘恋

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歩「ふーん、」


『え感想それだけ！？』


学年イチモテる男に唐突にキスされてそのあと思いきり顔面パンチをお見舞いした話を歩美は、くそつまんねー！とでも言わんばかりの顔で相槌を打つ。


『私ファーストだったんだよ！ねえ！』


歩「でもそれをあの中村海人に奪われたんでしょ？」


『そうだよひどい話でしょ』


歩「いいじゃんよかったじゃんイケメンに奪われてさ！」


『話聞いてました！？』


顔は確かにかっこよかったけども。


『けども…！』


歩「ほら、満更でもないんじゃん」


私は、もっとこう。


素敵な奪われ方をしたかったんだ。


好きな人とお付き合いをして、手を繋いで見つめあって。


好きだよ、って抱きしめられて。


なのに、こんな奪われ方って。


『あんの野郎…』


「あの野郎、ね(笑)」


『え"っ』


振り返った先には、困り顔で笑う、"アイツ"がいた。





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