愛し、愛され 2 【短編集】

【IN】I Lost Me ページ11

※死ネタ




『イエナ、別れよう？』


「ぇ？」


ヌナが真剣な顔で話す


嘘だと思いたかったけど、嘘を言っている表情には見えなくて


「ど、どういうことですか…？」


『ほんとに急で申し訳ないんだけど、別れて欲しいの
少しまえから考えていたの』


「なんで、、ですか、」


『……私、余命宣言されてて』


言っている意味が理解できない


ヌナが？しんじゃう？


『っ、な、泣かないで』


無意識に泣いていたようで、ヌナが優しく拭ってくれる


「余命、ってど、いうこと」


『これも本当は早めに言いたかったんだけど、勇気が出なくていえなかったの、ごめんね
私の余命ね、長くてあと半年なの』


頭を鈍器で殴られたような感覚がした


現実を受け入れられない


なんで、ヌナが


『だからさ、別れよう』


優しく涙を拭いながらも辛い現実を突きつけてくるヌナ


「、いや、いや、っ、です、」


せめて最後まで一緒にいさせてください


『ごめん、それは無理、かな』


イエナに最期の時見られたくないし、アイドル続けて欲しいし


僕をなだめるように優しい声色で言うヌナ


『ぁ、そろそろ行かなきゃ』


そう言って僕から手を離し、出ていこうとするAヌナ


焦ってヌナの手を引こうとする


逝かないで、ヌナｯ！！


引き止めたいのに体が動かない


なんで、なんでこんな時に動けないんだよ








ひとりぼっちの部屋


見渡すとヌナとの写真がたくさんあって


変わってしまったけど、全て


僕の365日


ということには変わりなくて


変えられない現状が悲しくて、辛くて、苦しくて


心の中を全部吐き出せたら


誰かが味方になってくれるのかな


でも、それでも


ヌナは帰ってこないんだ

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