53話 ページ8
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「大丈夫だよー。ね、福富さん」
そんな風に言って能天気に笑う真波くん──……って、今、福富さんって？
「──今日は特別だ」
突然後ろから聞こえてきた低音に、ハッと振り向く。
いつからいたのだろうか、そこには福富さんが立っていて、いつも通りの無表情で私を見ていた。
「元々いなかったマネージャーだ。部員だけでも朝練は回せる。行ってこい」
どうやら話は最初から聞かれていたらしい。
福富さんのその優しい気遣いに、私は思わず笑顔になる。
──だってあの総北高校の、面白いクライマーさんに会えるのかもしれないのだ。
そんなの嬉しくないわけないよ。
「あ、ありがとうございますっ」
「やった、じゃあ早速行こうか。Aちゃん自転車は？」
「あっちに置いてあるからとってくるね。ちょっと待っててくれる？」
「もちろん！」
ぺこりと福富さんにお辞儀をして、それから私は踵を返して自転車置き場へ。
伊豆のサイクルスポーツセンターなんて、ここからロードで行ったら…私のペースじゃ結構かかる。
朝のSHRには間に合わなきゃいけないから、偵察なんて本当に数分見るだけしかできないだろう。…てゆーかむしろ間に合うかな？
朝早く学校に来ていて良かった。だって今真波くんと会えてなかったら、こんな素敵なお誘いを貰うこともなかったもんね。
急いで愛車のキャノンデールを取ってきて、もう既に真っ白のルックに跨って待っていた真波くんに声をかける。
「ごめん真波くん、行けるよ」
「了解。Aちゃんと走れるなんて嬉しいや」
にこりと無邪気に笑ってくれた彼には、私も笑顔を返した。
真波くんと走るのは初めてだ。
私は部活中も基本はコースに出ず学校に残っているから、真波くんの走りを見るのさえも初めて。
東堂さんと毎日のように追いかけっこをしている彼が速くないわけないけど、一体どんな走りをするんだろう。
あの黒田さんでさえも、真波くんのことは気にしていた。
──インハイメンバーに入れるクライマーは、2人しかいないから。
…まあでも2、3年生の先輩たちは陰で、クライマーは東堂さんと黒田さんで決まるだろうって噂していたんだけど。
でもそれってつまり、そんな風に言われている黒田さんが気にしている真波くんってかなり速いってことだ。
──そんな彼の走りを、間近で見られる。
楽しみだな、なんてワクワクした気持ちで私はペダルに足をかけた。
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暁☆(プロフ) - poyocooooooさん» コメントありがとうございます！そんなことを言っていただけて光栄です✨️ 荒北さんも手嶋さんもとってもかっこいいですよね！推しを布教できて何よりです！笑 (4月30日 22時) (
レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
poyocoooooo(プロフ) - 弱ペダの作品あまり見かけない中でこんなに素敵な作品に出逢えてとても幸せです♡荒北さん推しだった私ですが、この作品を通して見事に新開さん推しになりました😍個人的に総北で手嶋さんと絡めたのが嬉しかったです✨手嶋くんいいですよね…！ (4月26日 4時) (レス) @page28 id: 7859abe11c (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 名無し20182号さん» コメントありがとうございます！！嬉しいです🥰 更新頑張りますね！ (8月23日 0時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
名無し20182号(プロフ) - 神作すぎて一気見しちゃいました💞めちゃめちゃきゅんきゅんします！！更新応援してます❕ (8月17日 21時) (レス) id: f1e05d66bf (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！！ 嬉しいです、頑張ります😭 (5月31日 14時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁☆ | 作成日時：2020年12月14日 21時
