40話 ~shinkai side~ ページ43
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「新開、そんなに急がなくても昼休みはまだある」
購買で無事にパンを買い、屋上へと廊下を歩いていたとき。
今にも駆け足になりそうな速さで歩く俺に、寿一が呆れを含んだ声を出した。
俺は小さく笑って首を振る。
「うん、知ってるぜ」
「…?」
あ、寿一今困惑した
「……そんなに早くパンが食べたいのか」
そして何がどうなってその考えに至ったのか、ズレたことを呟いて1人納得する寿一。
…うーん、俺そんなに食い意地張ってる?まあ食べるのは好きだけど。
「ちょっと違うけど…まあそーゆうことにしといて」
──…さすがに、早くAちゃんに会いたいからとは言えなかった。
1限の休み時間、辞書を借りるという口実と尽八を引き連れて向かった1年生フロア。
本当は辞書なんて、靖友とか寿一に借りれば良かったはずだ。
別に自転車部のやつじゃなくたって、辞書くらい貸してくれる友達はたくさんいる。
──それでもどうしても、Aちゃんに会いたいと思ってしまったのだ。
ついでに昼飯の約束まで出来て、こんなの嬉しくないわけない。
上機嫌で屋上へ続く階段を上り、そのまま扉を開く。
そこにはよく晴れた青空が広がってて、絶好の弁当日和だ。
「新開、福チャン。おっせェヨ!!!」
「いやあ、購買混んでてさ」
屋上に出た瞬間に遅い、と悪態をついてきた靖友の手には、空になったパンの袋が握られていた。早い。
でも尽八はまだパン食べてるから、靖友が異様に食うの早かっただけなはずだ。
箱根学園には、校内に購買と食堂がどちらも存在している。
尽八は普段食堂で食べてるイメージが強いから、購買のパンを食べてる姿は何だか珍しいな。
「新開さん、福富さん、えっと…おかえりなさい」
そして靖友と尽八とちょっと距離をとったところに並んで座る1年女子2人。
Aちゃんがはにかみながらそう言ってくれて、思わず笑みがこぼれた。
「はは、ただいま……ってあれ、まだ食ってないのか?」
Aちゃんの膝の上に乗った弁当バッグが開いてないのを見て思わず首を傾げる。
彼女は小さく頷いて、それから俺を見上げた。
「新開さんたち来るの、待ってようと思って」
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暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» コメントありがとうございます!嬉しいです(*^^*) (2020年9月23日 17時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
断然ポカリ派民 - ヤバい葵ちゃんタイプ (2020年9月10日 21時) (レス) id: 60ae0496f5 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» すみません、ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです (2020年8月29日 5時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
断然ポカリ派民 - まだかな♪まだかな♪ (2020年8月28日 21時) (レス) id: 60ae0496f5 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» ありがとうございます(´˘`*)更新早く出来るように頑張りますね! (2020年8月16日 5時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2020年5月1日 0時