39話 ページ42
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──朝、新開さんたちと約束をしてからの時間はあっという間で。
瞬く間に二限から四限までの授業は終わり、昼休み、私と葵ちゃんは東堂さんから指定された屋上へと向かっていた。
三限の後の休み時間に東堂さんから私宛にメールが来たとき、葵ちゃんはすごくびっくりしたみたい。
……まあそりゃそうだよね。
下手すれば学校イチモテてる先輩と、私みたいな普通の子がメアド交換してるんだもん。
「どうしよA、緊張してきた!やばい!」
ワクワクと緊張が混ざったような声色で、隣を歩く葵ちゃんが声をあげる。
それは私もおんなじです。さっきからドキドキが止まらないもん。
「だ、大丈夫だよ葵ちゃん。新開さんたち優しいから」
屋上への立ち入りは禁止な高校が多い中、
でも私はまだ1度も行ったことないし、そっちの意味でも何だか緊張していた。
お昼ご飯なんて教室でしか食べたことないもん。
「…よし、いくよA!」
長い階段を上りきって、葵ちゃんが屋上へと続く扉に手をかける。
私は小さく頷いて、それから手に持ったお弁当を持ち直した。
時間がある日はきちんとお弁当を作るのが私の日課だ。
「お邪魔しまーす…」
そろそろと、葵ちゃんが扉を開ける。
5月の中旬。
柔らかい風が吹き抜けて、外でお昼を楽しむにはピッタリの青空が視界いっぱいに広がった。
「お、Aチャン早いじゃん。オトモダチも一緒ォ?」
その瞬間かけられた特徴的な声に、空に向けていた視線をそっちの方向へ動かす。
視界に入ったのはサラサラの黒髪で、まさかいるとは思ってなかった彼に、私は思わず目を瞬いた。
「え、荒北さん?荒北さんもここで食べるんですか?」
葵ちゃんが、誰?と振り向いてくる。
確かに新開さんたちと違って、荒北さんの話は1年の間ではほとんど聞かない。
「うん。東堂言ってなかったのォ?」
「おまえがついさっき勝手についてきたんだろう!?いつ言えと言うんだ!」
いつも通りに仲良く喧嘩する2人を横目に、自転車部の先輩だよ、と葵ちゃんに説明。
屋上にいるのは荒北さんと東堂さんの2人だけで、新開さんはまだいないみたいだった。
「そいや福チャンもくるヨ。今新開のパン選びに付き合ってっから、すぐ来ると思う」
もう既にパンの袋を開けつつ、荒北さんが教えてくれる。
…やっぱり先輩たち仲良しだよな、なんて思うと何だか少し嬉しかった。
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暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» コメントありがとうございます!嬉しいです(*^^*) (2020年9月23日 17時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
断然ポカリ派民 - ヤバい葵ちゃんタイプ (2020年9月10日 21時) (レス) id: 60ae0496f5 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» すみません、ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです (2020年8月29日 5時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
断然ポカリ派民 - まだかな♪まだかな♪ (2020年8月28日 21時) (レス) id: 60ae0496f5 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» ありがとうございます(´˘`*)更新早く出来るように頑張りますね! (2020年8月16日 5時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2020年5月1日 0時