21話 ページ22
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そんなこんなでのんびりした日常(?)を過ごし、5月に入って1週間ほど経った頃。
今日の部活も無事終わり、私は用具の点検をざっとしてから部室へ戻ってきた。
今日はもちろん3年生の先輩たちはいない。
4人仲良く帰って……いや、たぶん走りに行っている。
部室の鍵は閉めてしまっていいと言われているから、私は掃除をして施錠をすれば後は帰るだけだ。
4月にあった、新開さんとコンビニに寄り道とか嬉しかったしドキドキしたけど、そんなことは頻繁に起こらない。
新開さんの気まぐれ、ただそれだけだから。
……本当は一緒に帰りたいし、もっと話したい。
この気持ちはきっと恋なんだろうな、なんてぼんやり思うくらいには新開さんに惹かれている私。
もちろんあんなにモテモテな新開さんの彼女になれるとは思ってないし、他の女の子みたいにひっそり片思いを楽しむ予定だけど。
まずは洗濯物を干そう、と思いながら部室の扉を開けると、予想外なことにそこにはまだ人が残っていた。
わ、と思わず声をあげて、記憶の引き出しから彼の名前を引っ張り出す。
直接自己紹介はされてないけど、目立ちすぎる彼のことは一方的に知っていた。
「銅橋、くん…だったよね。まだ残ってたんだ」
──銅橋正清くん。
青と緑が混じったみたいな色の髪が特徴的で、がっしりした体格の男の子。大きくて怖い、そんな印象。
──つい最近退部して、また入部してきた子だ。
3年生の先輩を殴ったことが退部させられた原因と聞いている。私と同い年の1年生だけど、やっぱりちょっと怖い。
それなのにまた入部とか、すごい根性だなとは思うけど…。
銅橋くんはチラリと私を見て、それからすぐに目を逸らした。
「あと1時間だけ回してこうと思って…鍵は俺がやるからマネージャーは先帰ってろ」
言われて見れば、銅橋くんのすぐ横には3本ローラー。
単純な私の頭は、それだけで銅橋くんへの恐怖を薄くしていった。
「私まだ洗濯干してなくて、今からやるの。私のことは気にしないでローラーしてていいよ」
そう言いつつ洗濯物に手を伸ばすと、大きく舌打ちされた。肩が跳ねる。やっぱり怖い。
「貸せ。てめえ身長低いし届かねえだろ」
ビクビクしながら濡れたジャージをハンガーにかけていると、銅橋くんにそれを奪われた。
ひぇ、と変な悲鳴が漏れる。
…もしかして銅橋くん、優しい?
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暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» コメントありがとうございます!嬉しいです(*^^*) (2020年9月23日 17時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
断然ポカリ派民 - ヤバい葵ちゃんタイプ (2020年9月10日 21時) (レス) id: 60ae0496f5 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» すみません、ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです (2020年8月29日 5時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
断然ポカリ派民 - まだかな♪まだかな♪ (2020年8月28日 21時) (レス) id: 60ae0496f5 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» ありがとうございます(´˘`*)更新早く出来るように頑張りますね! (2020年8月16日 5時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2020年5月1日 0時