19話 ページ20
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──翌日、昼休み。
高校に入って新しく出来た記念すべき初めての友達、
突然教室の前の扉が開いて、クラスメイトの視線がそこへ集まった。
「…新開さん?」
私も例に漏れず扉の方を見て、思わず小さく呟く。
──柔らかそうな赤い髪。垂れた青い瞳。精悍な顔立ち。
隣に座っていた葵ちゃんが、わあ、と感嘆の声をあげた。
「チャリ部の人でしょ?かっこいいって噂になってるよ。まだ入学して1週間のうちらの間でも人気ってすごいね」
知り合い?と首を傾げてくる彼女に、小さく頷く。
葵ちゃんは、私がチャリ部のマネージャーであることは知っている。
けどたぶん、新開さんと面識があるなんて思ってもいないはずだ。
だって3年生のイケメンって騒がれてる先輩だもんね。
すると、しばらくキョロキョロと目を泳がせていた新開さんが、私の方を見た。
目が合った瞬間に微笑まれる。
「Aちゃん!良かった教室いなかったらどうしようかと思ってたんだ。ちょっと出てこれるか?」
そこでようやく、思い出した。
確か昨日新開さんと、うさぎに餌やるって話したような…。
慌てて立ち上がった私に、葵ちゃんが目を瞬く。
「A、新開先輩と仲良いの?まだ入学1週間なのに?」
「仲良いっていうか…新開さんが優しいだけなんだけどね。ちょっと行ってくる!」
クラスの人たちの注目を浴びつつ、教室の外へと出る私。
そりゃそうだよね。まだ入学して1週間。3年生の先輩が1年生の教室に来るなんて滅多にないもん。
廊下に出ると、新開さんが片手に葉っぱみたいなのが入った袋を持っていることに気付いた。
本当に私にうさぎに会わせてくれるんだ。嬉しい。
「えっと、ウサ吉くんでしたっけ」
「うん。でもくんはちょっと違うかな。女の子だから」
昨日教えて貰った名前を思い出していると、新開さんから驚くべき情報が。
えっ、ウサ吉って名前で女の子なの!?
「う、ウサ吉ちゃん…?」
「はは、そうそう。ふわっふわで可愛いぜ?」
楽しそうに笑う新開さんに、うさぎの性別はどうでも良くなってきた。
新開さんがつけたであろう名前に何か言えるほどの勇気はない。
「楽しみです!」
基本的に動物が好きな私は、ワクワクしながら笑ってみせた。
何派って言われたら猫って答えるけど、うさぎも大好きだからね!
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暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» コメントありがとうございます!嬉しいです(*^^*) (2020年9月23日 17時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
断然ポカリ派民 - ヤバい葵ちゃんタイプ (2020年9月10日 21時) (レス) id: 60ae0496f5 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» すみません、ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです (2020年8月29日 5時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
断然ポカリ派民 - まだかな♪まだかな♪ (2020年8月28日 21時) (レス) id: 60ae0496f5 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 断然ポカリ派民さん» ありがとうございます(´˘`*)更新早く出来るように頑張りますね! (2020年8月16日 5時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2020年5月1日 0時