私がメモで書いてきた小説集 (ページ4)

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『あんた優しいじゃん』ページ4

外で猫たちが唸りあう午後11時

私は友達の話を聞いていた
誰にも話したことがないという話を聞かされてる。

なぜ私にいうのかわからないけれども、とりあえず面白そうだから聞いた。
まぁ簡単にいうと、虐待といじめにあって愛情がわかりません、と

嘘つけ、私はそう思った。
春に行われる数々の身体検査。
その時、短パン単シャツになる。
春特有の冷たさが肌を冷やしてくるのが嫌だが、
それには虐待跡がないかを調べるためにある。

そして

前彼女が誕生日の時に送ってきた自分の誕生日ケーキ。
家族が祝ってくれたというメッセージが添えられていた。

彼女がいじめられてたとこなんて見たことはないし，
見えないとこでやってたとしても，
彼女は毎日ほぼ私と一緒にいる。

まぁ、なんというか、憧れでもしたんだろうか。
悲劇のヒロイン？って奴に。
自分が可哀想に見せたいっていう時期ね。
ほらもう愛情がわかりませんとか言っちゃってるし。

はぁぁ…と息を吐く。
とりあえず
『大丈夫』
とだけ送った

11時という夜中なのに喧嘩を始めた猫。
外はまだ軽自動車が走っている。
軽くネオンの光る街を見ながら考えた。

愛情

これはただの自論だけれども、
優しさとは愛情のこと。
だから優しくできる時点でその人は愛情を知っている。

嫌いな人には優しくしたくないもの。
だってそれは愛情がないんだから。

好きな人には優しくしたいもの。
だってそれは愛情があるから。

好き、嫌いがある時点で感情と愛情はあるものだし。
愛は知らないんだとしても、わかっている。
わかってるなら十分でしょ。

そして続けてこう送った。

『あんた優しいじゃん。』

人は愛を持って生まれるようにできてるんだから、
悩まなくていい。

愛ってそんな具体的でちゃんと形になってるものじゃないんだし。

ご飯作ってくれる〜とかよりももっと些細なことに愛情を私達は使ってる。
多くの人は難しく考えるから、ずっとぐるぐるして迷ってる。
単純に考える人間が1番頭良いのかもね。

結局友達とその話が終わったのは午前0時
私はずっと落ちかけていた瞼を下ろすことを許し、
すぐに夢の中に入っていった。

その時間に残ったのは
猫の毛と、おやすみのメッセージだけだった。