36ツン ページ37
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「なんで、あんなこと言ったんだ?
傷つくって分かってて…
健ちゃんだけじゃなく、お前自身も。」
『聞いたんだ…』
「ああ」
すると、ぐびっと一気にビールを飲み
『…私、バカなの』
とポツリ。
「知ってる。」
『正直、妬いた』
「知ってる。」
『めちゃめちゃ悔しかった」
「知ってる。」
『けんちーの隣は私で、私の隣はけんちーなのに』
「知ってる。」
『あの人の方がけんちーを分かってあげられてる
仕事のことも、大好きなダンスことも。」
「うん。」
『それに、』
『けんちーのどストライクだもん、』
「うん。」
『キレイだし、可愛いし、なんかほっとけない、年上を感じさせない守りたくなるよーなお姉さん』
「うん。」
『でも、でも…』
『私のほーが、けんちーのこと、大好きだもん』
「うん。」
『あたしのほーが、ずーとずーっと前から大好きだったもん。』
「それも、知ってる。」
『それなのに、あたし、あたし…』
『ひどいこと、言っちゃった…』
「なら、どうする?このままでいいわけ?」
『謝る。んで、仲直りしてくる』
「それだけ?」
『…え?』
「いいの?健ちゃんが遠くに行っても」
『そ、それは、…でも、』
「‘‘ 言えない”」
『え?』
「分かる。俺もそうだから」
手に持っていたビールを口にして
酔いを回す
「オレも、好きな子いるけど……ずっと見てるだけだし」
『……え、知らなかった…』
「だって言ってねーし、お前の知らないコだし笑」
『そ、そうなんだ…』
「長いこと知り合いなのによ、話したこともねーの
おっかしいよな……でも、好きなんだよ。毎日、毎日気になってそのコのことばかり考えちまう」
『……その子は幸せだね』
「……」
『ひろくんみたいな男の子から好かれたら、きっと嬉しいよ。 でも、遊ぶのはやめたら?』
「…俺には歌しかない。
…空っぽなんだよ、中身が…自信もない自分から逃げる為に女に手を出しちまう」
『ひろくん…』
「この俺がさ、こんな臆病て笑っちゃうよな笑 」
「だけどさ、俺みたいになるなよ。俺みたいになっちゃだめだ。
健ちゃんに、ちゃんと気持ち伝えろよ…
好きだって気持ちだけを信じればいい。他にはなんも考えるな。
…行ってこい。今からでも遅くない。手遅れになる前に」
そうオレが言う頃にAの瞳は
何かを決心した強い瞳になって駆け出していた
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作者名:マリ | 作成日時:2016年6月12日 14時