ホソクの妹！ (ページ43)

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テレビで見たことあるー

というのはテレビで放送されていることを体験したことがない又は聞いたこともない人が、さも知っていたかのように振る舞う時に使う言葉である

私が遊園地に来てまで、なぜこんな話をしているかというと

「このチューシャ、つければいいのかな？」

「多分ね。テレビで見た」

「ここすごい並んでるけど、なんのお店なんだ」

「多分カレー。園内で一番大きなレストランらしい。テレビで見た」

そう！今現在！我々は「テレビで見た」状態に陥っているのである！

デビューしてから、彼らはずっと外出と言うと、テレビ局や事務所と宿舎だけだった

だから、一般人が遊園地に来たときに何をするのか、というのはたまに見るテレビからでしか情報を得られない

探り探りで遊園地を楽しもうとする

平日の昼間のため、熱々カップルなどほとんどおらず、参考になる資料が家族連れしかいない

「ママーあれ買ってー」

上目遣いで高いぬいぐるみを買わせるこども

「パパ抱っこ」

歩きたくなくて父親に抱っこしてもらう子ども

全く参考にならない

というわけで急いでネットで調べる

「まずはお揃いのカチューシャ、は買ったな。で、手を繋いで他愛もない話をする、だそうだ。次は写真についてだからとりあえず手を繋いで会話をするところからやってみようか」

ナムのおどおどっぷりったらない

差し出された手は手汗がぐっしょりで、ずっと目線は下

「ナム～下ばっか向いてると転ぶよ」

さっきまでの不安はどこかに飛んで行き、私はナムの手を引いてリードした

ペンギンのような足取りで、私の後ろをついてくるナム

可愛くてしょうがない

ジミンたちがいたら動画に撮られてグループにあげられる案件だ

「まずはあの絶叫乗ろう！」

もっとかわいい姿が見たくて、私は夢中で走った

ーーーーー

「楽しかったね！」

「大満足だ」

初々しいカップルからベテランに変わった気分

カチューシャも被りこなし、全ての絶叫マシーンを華麗に乗り、途中で撮られる写真もバッチリだし、お土産も完璧である

「マネージャーさん呼んであるから行こう」

「わかった」

遊園地から手を繋いで一緒に退場して行く

有る日常のようで無い日常

私とナムは十分すぎるほど遊園地を満喫した