○ ページ34
HS side
小さい頃、Aは病弱で月に一回は風邪をひいていた。
高校生の時は大学受験のストレスで、精神的身体的に負担がかかって、何度も救急車に運ばれてた。
Aがチューブに繋がれるたび、俺は何度も思った。
Aがいなくなるなんて嫌だ。
例えいなくなるとしても、俺の腕の中で、
そう思ってからは行動が早かった。
なにかと都合をつけてAに会いに行ったし、
メンバーにも紹介して守ってもらえるように頼んだ。
ヒョンたちも弟たちも嫌な顔一つせず協力してくれていた。
いつしかAは俺の大切な存在ではなく、みんなの大切な存在になったんだ。
Aをマネージャーにしてからもっとたくさんお喋りしたし、喧嘩した。メンバーと打ち解けて仲良くなっていくたびに、嬉しくなった。
まだここにいてくれそうだ、って。
俺はAが俺たちと一緒に笑ってればそれでいいと思ってた。
でもAにも人生がある。
好きな人と出会って、結婚して幸せな家庭を築く人生があったかもしれない。
三年前、妊娠したって聞いて、Aがいなくなるって怖くなった。
俺のそばで笑いかけるかわいい妹じゃなくなっちゃうのかなって。
しかもナムジュニが父親って、複雑だよな。
その時どうしても怖くなって、怖くなって、目の前が真っ暗になった。
心配なんだ。
Aがどこかに行った途端、消えちゃいそうで。
苦しく息を吐き、救急車に吸い込まれていくAの姿を思い出すと、奈落に落ちたみたいに真っ暗になる。
行かないで、
A
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 363人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こむぎ | 作成日時：2020年5月5日 2時
