ルームメイトはお爺ちゃん！【YG】

うさぎ ページ28

JK side



『好きだ。A』


ユンギヒョンの声が聞こえてきた。


危うくAさんの携帯を落としそうになってしまう。


ジニヒョンに頼まれてAさんの携帯を届けにきたら、


どうやらタイミングが悪かったらしい。


「・・・・・・まじか」


自分にしか聞こえないくらいの声で言う。


初めて彼女が俺たちの部屋に来た時、優しそうな人だなーって思った。


ふわっと香るシャンプーの匂い。


笑った時にできるえくぼ。


ご飯食べてる時の膨らんだ頰。



歳上だけど、素敵な人。


いつ仲良くなろうかタイミングを見計らってたその隙に、ヒョンに先を越されてしまったみたい。


ルームメイトだもんなー


あー


これどうしよう。


手で握りしめたままの携帯。


ジニヒョンに託されちゃったし、渡さないとだよな。



コンコン



「Aさん、携帯電話忘れてましたよ」



部屋の中から地響きのようなものが聞こえてくる。



暴風とともにドアが開く。


危な、鼻飛んでくわ。



「ジョングク君！ありがとう！」


Aさんがしきりにありがとうと言って握手する。




それが

携帯を持ってきてくれて「ありがとう」


なのか


気まずい雰囲気を断ち切ってくれて「ありがとう」


なのか


俺には考える余裕すらなかった。



だって




Aさんが俺の手を握ってるから。


彼女の温もりが俺に伝わってくる。


心臓がジワリ暖かくなる。



「いえいえ、携帯今度から忘れないようにしてくださいね？」



「本当にありがとうう！！！」




「あ、あとひとつだけ



ーーーーー俺のことグクって呼んでください」


「はぇ？」



素っ頓狂な声で固まっているヌナをよそに俺は踵を返して立ち去っていく。







さー、明日から大変だ。

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