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『いただきます!』
いただきます、と言った瞬間食器が私の頭上を通った。
スクアーロに”伏せとけ”と言われていなかったら今頃頭から血が流れているだろう。
『え?』
大きなテーブルの上で行き交う食器たち。
パリンという音を立てて割れていく。
隣に座るベルはししし、と満面の笑みを咲かせて食器を投げている。食器よりもナイフの方が多いけど。
ベル「Aもやらね?」
私がベルを見つめているとやりたいと勘違いしたのかベルのナイフを渡された。少しだけ、ほんのちょっとだけ。
仄めかされてしまった私はナイフを持ち直す。
ナイフはいとも簡単にヒュン、と思った軌道へ向かった。
もちろん大事な人達なので、人には向けていない。
ベル「上手いじゃんA!」
えへへ、と調子に乗った。
お腹も空いてきたから行き交う食器たちを無視して食べることにした。
誰が作ったのか分からないがとても安心する味だ。
お母さんが作ったような、幸せな味だった。
1口1口を噛み締めて食べるとあっという間にお腹が脹れた。
『美味しかった!!誰が作ったの?』
ルッスーリア「あたしよ♪」
『お姉ちゃんありがとう。私この味大好き!』
お姉ちゃんは裁縫も出来るのに料理も出来るなんて凄いなぁ。うふふ、と少し気持ち悪い笑い方をしているのは気にしないでおこう。
またベルがなんか文句を言っているけど。
ご馳走様でした、と言って手を合わせた後は歯磨きをしに洗面所へ向かった。まだ7歳なので仕上げはお母さん、ではなくスクアーロがやってくれる。
スク「もういいぞ。」
スクアーロに身を任せ口を開けて待っているとそう聞こえた。嗽をして歯磨きは終了。
自室に戻り、任務の詳細を確かめる。
私の初任務だ。
初という事もあり人を1人殺すだけの任務だ。
単独での行動でしか人を殺したことがないから逆に単独でよかった。骸の時は別々に殺してたからかもしれない。
新しい隊服に身を包み、一応ベルから預かったナイフを何本か持っていく。
廊下に出ると、すれ違った幹部達が応援してくれた。
期待に応えれるように頑張る。
城の門を出て移動する。
体力がまだないため車での移動となった。当分は体力作りに力を入れようと意気込んだ。
城外の景色は普段外にあまり出ないため、新鮮で面白かった。
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作者名:kk | 作成日時:2022年5月2日 23時