マルチリンガル姉さん (ページ7)

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「祐希！それじゃあ隙間打たれる！もっとブロック寄れ！」

祐希「すみません」

今日まじブロックが上手くいかない
ちょっと薬指違和感あるし最悪だ

柳田「ドンマイ、次」

祐希「おー」

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「今日の練習は以上！各自ストレッチしとけよ〜」

やっと終わった
梅原さんどこいるかな

『あの、石川さん』

祐希「うぉっ！」

『あ、えっと、すみません。』

祐希「こっちこそ、すみません、大声出して、どうしたんですか？」

『いや、指違和感ありそうだったからテーピング持ってきたんですけど、巻きますか？』

祐希「あ、はい、お願いします。すみません」

『謝らなくて大丈夫ですよ。これが仕事なので』

確かに指に違和感はあったけど大した痛みじゃないし
周りには絶対に気づかれないだうと思ってたけど
梅原さんには気づかれてたのか

鋭いなこの人

練習前に話さなかったからもちろん仲良くなれているわけではなくて

お互い無言で何となく気まずい雰囲気が漂ってる……

『あ、あの！』

祐希「は、はい！」

『今日の試合形式のレセプション成功率は9割近くいってました。凄かったです。』

祐希「え、」

『スパイクも、バックアタック決定率67%でしたし、』

祐希「そ、そうなんですか」

『さすが逸材と言われる方だなと思いました。
今度はブロック練習、一緒に頑張りましょうね。私、こう見えても優秀なアナリストなので』

梅原さんは俺を見てふわっと笑った

凄く笑顔が素敵な人なんだなってもっと見たいなって思った
もうその時から惹かれてたのかもしれない

俺の技術の成功率も不調だった部分も正確に記録してて
大丈夫かなとかちょっと苦手意識持ってた自分を殴りたい

それに、トレーナーだからとかそういうの一切関係なく
『一緒にがんばろう』って言われたことがすごく嬉しくて

祐希「あの、俺、梅原さんと仲良くなりたいです」

なんて、中学生みたいな事を口走ってた

彼女は驚いていたけど、さっき見せてくれたみたいな優しい笑顔で

『もちろんです、仲良くしてください』

って即答してくれた

それから5年
今はイタリアでプレーする俺を"スタッフ"として支えてくれている

『祐希くんなんかいいことでもありました？顔緩んでる』

祐希「Aと初めてあった時の夢見たから」

『恥ずかしい……』

なんて言うこの子は俺の好きな子になった