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#14 ページ41

yuki side









今日は公式戦前の調整も兼ねた練習試合
日本も今や強くなって世界ランキング4位まで上り詰めてるけど
今回も気は抜けない







『祐希くんっ』


祐希「お、A」


『はい、これ』






俺の掌に置かれたひとつの飴

今や小さな甘い粒には俺を安心させてくれるお守りになっている





祐希「んふ、さんきゅ…」


『がんばれ』


祐希「うん、勝って帰ってくるね」





うんっ、と言ってAの最大級の笑顔を向けられて少し照れたのは内緒

でも、今日もそれだけで頑張れる

俺って意外と単純なのかも、笑






西田「祐希さんさ、Aに試合前いつもいちごミルクの飴貰っとるやん、あれなんで?」


祐希「いや、まぁいろいろあって笑」


西田「いろいろって何!?」



















2021年 東京オリンピック

初めて俺が今シーズンの代表からキャプテンをやることになった年

前のキャプテンがマサさんだったから、正直俺なんかにつとまるか心配だった

プレッシャーに押しつぶされそうで……

試合前、頭の中が不安とプレッシャーと世間の目でぐちゃぐちゃになった時








『祐希くん、これあげますね』


祐希「…いちご……ミルク?」


『私、小さい時からバレーしてて大きな大会も何回か出てきました』


祐希「知ってる。関さんからめちゃめちゃ聞かされた」


『え、笑 関さん余計なこと喋ってなきゃいいんですけど笑

まぁ、それですごく緊張してたんです。

高校の時、ファンだって言ってくれた子からいちごミルクの飴をもらってすごく笑顔でどんなAちゃんも応援してます!って言われたんです』







そう言うAはとても綺麗で

目が離せなかった







『そんなこと言われたら頑張るしかないじゃなないですか』


祐希「その時は頑張れた?」


『はい!いちごミルクの飴がお守りになってくれたし、あの子のどんな私でもって言葉がエンジンかけてくれました』


祐希「すごいね、A」


『祐希くんがチームをまとめて強くなってること、私が知らないところで努力してること、分かってます。

初めて会った時言ったこと覚えてますか?』









"一緒に頑張りましょうね"



俺がバレー人生の中でトップに入るぐらい嬉しかったこと

忘れるはずない








祐希「一緒に頑張ろう」


『はい。一人で悩まないでくださいね。

どんな祐希くんでも応援しますから。』

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作者名:林檎うさぎ | 作成日時:2023年10月27日 2時

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