Unbearable Love

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『壱馬』






ポロポロと涙を流す壱馬は
小さな歩幅で私の前まで来て








壱馬「……ごめんっ」









そう一言呟いた










『…………』



壱馬「ごめんなさい」









いつもセットされてる髪は
少し崩れていて、走ったのかな？なんて










『…………』






壱馬が涙を流している姿は
いつぶりに見たか分からないぐらいで










こういう時どうやって落ち着いていたかな？と
昔の記憶を思い出して














『……あげる、』












ポケットにれていたいちごみるくの飴を
ひとつ壱馬の手に乗せた。










昔空手の大会で惜しくも負けたときやお姉ちゃんのことで悩んでいた時、いつもあげていた。












壱馬「……いちご、みるく……っ」







飴を見て余計に涙を流す壱馬






昔だったらこれをあげたら喜んでいたはずなのに
違ったかなってオロオロしていると後ろから声がした











『南くん……』



南「そろそろ時間だよ」



『ほんとだ』














慌てて時計を見るとギリギリの時間で










『壱馬、もう行くね』




壱馬「……」



『元気でね？』



壱馬『……』



『じゃあね』











何も言わずに手に乗った飴を見つめる壱馬に
背を向けようとしたら掴まれた右手










壱馬「行かんで……」




『壱馬、』



壱馬「俺から離れんといてっ……」











崩れた前髪から見える壱馬の綺麗な瞳には
私だけが映っていた











『……ごめんね、壱馬』






壱馬「………っ」





『私はずっと壱馬の夢応援してるから』






壱馬「Aっ……」








久しぶりに名前を呼ばれたな、なんて思いながら
自分の気持ちに区切りをつける










『頑張れ、壱馬』








私も、頑張るから、










壱馬のの手を離して私は日本を旅立った。

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