#14 顕嵐side -1year past- ページ14
＊
「何それ、ほとんど告白じゃん！」
「うっわあ、じんくんやるねえこの時期に」
「えー、わたしAが
サッカー部の応援行ったら寂しい！
今年も一緒にバスケ部って思ってたから、
優太くんにそうやって言っちゃったよ」
「うわあ、岸の奴バカだからみんなに雪乃やAが
バスケ部の方行くのもう既に言い回ってそう」
『いや、正直バスケ部に行く気持ちは
揺らいでないんだけど...』
「じゃあ何を迷ってるの？」
「あれか、最後だからってことか」
『うん...、いやバスケ部も同じなんだけど、それを
はっきり言われてしまうと何とも断りにくくて』
「しかも好きって言われた訳じゃなくて、
見てから考えて欲しいからまた今度、でしょ？
ずるいよね、じんくんも」
「いやあ、でもやっぱバスケ部行きたいよね普通。
だって長妻くんだって最後じゃん、やっぱ
好きな人の最後の勇姿は応援したいでしょ！」
「ちょっと結衣声が大きいよ！」
...いや、注意する前に聞こえてます。
お前らバカか、
全然ガールズトークって声の大きさじゃねえよ。
ヘッドフォンして寝たふりしてる俺しか
教室にいないからって油断しすぎ。
朝練があると思って来たら今日は休みで、
最悪だと思ったけど思わぬ収穫。
じんがついに行動に出たことを、
Aと、同じチア部の雪乃、それに結衣と
弓道部のすずちゃんの仲良し4人組の会話で知る。
ちなみに4人は1週間後に迫った
体育祭のクラス旗を進めているらしい。
確か、すずちゃんが実行委員のはずだ。
朝の殺風景な教室に、綺麗な旗と女子の話し声、
...わりと悪くないかも。
『ほんと、どうしよう...。
今日じんくんと会うのすごい気まずい』
「つっても隣の席だから
会わないって訳に行かないしね」
「でもだからって、
じゃあサッカー部の応援行くとは言えないよねえ」
『...怜央は、どう思うかな』
珍しく、どこか弱気なAの声に顔を上げると、
想像以上に難しい顔をして。
あーあ、可愛い顔が台無しだっつうの。
俺はじんとも仲はいいけど、これに関しては
圧倒的にAとながつを応援してる。
あの2人を邪魔できるものなんて、
正直なところ存在してないと本気で思うから。
...だから、これは阿部顕嵐、
ちょっと頑張りますかね。
＊
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作者名：りり | 作成日時：2017年6月7日 21時
