#57 シゲside ページ27
＊
「よかったら見るだけでもどうですか？」
ぼーっと椅子に座って待っとるだけの俺を
見かねたんか、店員さんに声をかけられた。
断るんも申し訳なくて、
流されるままにショーケースの前に足を運ぶ。
「あちらのお客様のお連れ様ですよね？」
「あ、はい...」
「あちらのお客様のお選びになった
エンゲージリング、少し普通のものより
繊細なデザインなんですけど
実は社員の中では1番人気なんですよ！
あんな素敵な指輪贈られる
彼女さんが羨ましいです」
にこやかに笑う店員さんに勧められるがまま、
何故か俺もエンゲージリングやら
何やらを見せられる。
言うて淳太も本人のやないけど、
俺なんかさらにあげる予定もないし
あげる相手すらもおらへんのに。
見たところでどうしようもないやんな。
...なんて思っとったのに、目に止まるものが1つ。
「これ、気になりますか？」
「あ、いや...」
「これ、今年の限定デザインの
数量限定発売のものなんです。
このシリーズはシンプルな作りにこだわってて、
流行り廃りのないものが多いんですよ」
「はあ...」
「長い間付けて頂くことができますし、
結婚記念日とかに贈られる方が多いですね」
「へえ、そうなんですか」
「...彼女さんかどなたか、
あげたい方でもいらっしゃいますか？」
シンプルな、シルバーのネックレス。
トップが涙型みたいな形になっとって、
水色と濃い青と普通のダイヤみたいなやつと、
3色の宝石が組み合わせて埋まっとる。
周りのものに比べたら派手さはないけど、
繊細で綺麗な、目を惹くデザイン。
...橘に似合いそう、やなんて。
ただの片思いの俺が思うのはおこがましいけど。
でも、素直にそう思った。
「...年甲斐もなく、片思い、しとって」
「え...」
「その子に、めっちゃ似合いそうなんです」
「そうなんですか...！」
「...もし付き合えたら、
彼女にこういうのあげたいなとか、
ちょっと思いました」
...独占欲、か。
確かに、橘になら、あげたい。
彼女に似合う綺麗なものを、
彼女は俺のやって示すためにも。
「...叶うといいですね」
店員さんはそう真剣な顔で言った後、
限定デザインなんで早めに買いにきてくださいね、
ってまたにこやかに笑った。
＊
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ひかり(プロフ) - はれなさん» コメントありがとうございます！世界観のファンやなんて恐れ多いです...でもめっちゃ嬉しいです（＾Ｏ＾）マイペースな更新になってしまいますが、今後も楽しく読んで頂けるように頑張りますのでよろしくお願いします！！ (2017年4月28日 9時) (
レス) id: 065cfa3c4f (このIDを非表示/違反報告)
はれな(プロフ) - 前回の作品に引き続き、公開中のクロスライン毎回更新が楽しみで、展開をドキドキしながら読ませていただいております。ひかりさんのペースで構いませんので更新心待ちにしております。作者様の世界観のファンです！ (2017年4月28日 1時) (レス) id: 745a96f7ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2017年4月24日 10時
