クロスライン 2

#55 ページ25

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正直、ちょっと胸が高鳴った。






重岡さんに初めて1日

2人で出かけようって誘われて。

スーツやない重岡さんとお出かけやって。

来週の日曜日が来るまで

何か準備しやなって思って。






『うーん...』

「望くん的には左のがいいでーす」

『望くんの好みは聞いてませーん』

「え、でも素直に左のがええ。

明るい色のが似合っとるよ」

『...急に本気のアドバイスされると

びっくりするやんか』

「色白いでそっちのが映えるし、

季節的にもそっちのがええやん？

あとな、白は基本的に無敵やねん。

白色の服着こなす清楚系が嫌いな男はおらへん」

『...望のアドバイスって

ほんま何か信憑性あるよね』






隣にきた店員さんが、彼氏さんの言う通りですよ、

なんてわたしに微笑む。

彼氏やないんやけど、まあこんな風に

2人で買い物しとると間違われることは多くて。

そうですよね、こっちのが可愛いっすよね！

...なんて、望も乗っかるな、おい。






結局、望に勧められるがままに

白い綺麗目のワンピースを買って店を出る。

他の男の人とデートに行くための服を

別の男の人に選ばせとるやなんて、

何かそろそろ誰かを思っとる女の子に刺されそう。






「ええな、重岡さん見たことあらへんけど、

あんな可愛いの着とるお前と1日デートやって」

『何、ちょっと妬いた？』

「...ごめん別に妬かへんわ」

『何やねんそれ！』

「でも普通に可愛いやろうなって思って。

めっちゃ似合っとったで、喜ぶんちゃう？」

『...変に期待させちゃうかなあ』

「あ、流星くんのことがあるで？

んー、基本的にそんなん服装がどうとかってより、

デートの誘いに乗って来てくれるって段階で

期待はしとるはずやから変わらんやろ」

『そうやよねえ...』

「まあ、男なんて期待させとき。

普通に好きな女が自分のために

ちゃんと服とか考えて来てくれるんは

どういう結果であれ素直に嬉しいで大丈夫や」






買い物付き合ってくれて、

わたしの荷物を持ってくれて、励ましてくれて。

望にはほんまに頭が上がらんなあ。

今日のランチは好きなのご馳走してあげようっと。






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