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5時半で上がって一緒にタクシーで行くから

ロビーで待っとって、

と言っとった重岡さんの言葉通り、

時間ぴったりに上がって彼をロビーで待つ。





「ごめん遅なって、待たせたやろ?」

『いえ、大丈夫です』

「ごめんな、ほな行こか」





はい、また爽やかな笑顔。

最近は総務部の美波ちゃんを

狙っとるらしいって聞いたけど、

彼女もこの笑顔で落ちるんやろうかね。

え、てか社内で何人目やねん。





何がすごいって、

この人が落とすんは女だけやない。

笑顔と愛嬌で営業時代に数々の仕事をも勝ち取って

うちの部に華々しく移籍してきて、

しかも今もエースなわけやから、ほんまに無敵。

まあ、重岡さんについては

ほんまに実力もあると思うから

あんまりそればっかりは言いたくないけど。





でも、正直世の中、イケメンには甘すぎると思う。





「橘、接待久しぶりやっけ?」

『そうですね...久しぶりですかね、

前回の時は中間さんとご一緒させてもらって』

「え、珍しいやん、淳太が接待やなんて」

『取引先の方がちょっと歳上の

めっちゃ面食いの女性で、

中間さんがお気に入りでご指名入っちゃって。

んでその人がどう出るか分からへんし、

女がついてた方が中間さんを守れるやろって』

「うわ、淳太もやしお前も災難やな」

『中間さん同期でしたっけ?』

「おん、あと同期で橘がわかるんは...

照史くらいかな」

『あ、桐山さんもそうでしたっけ』

「あ、照史のが歳上や思ってた?

今度照史に言ったろ、

橘が老けて見える言うてたでって」

『え、だめですよ!

桐山さんにはよくしてもらってるのに

そんなん言われたら困ります』

「嫌や、絶対言ったる!」





...ああ、もうこの男は。

こういうちょっと子供っぽいところがまた可愛い!

とか言ってモテるんやろうなあ。





...って、あかんあかん。

わたしはこの人には落ちへんのやで。

しっかりしろ、橘A。





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作者名:りり | 作成日時:2017年4月17日 9時

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