041 Hokuto ページ42
＊
今この瞬間も、さらに好きになる。
好きになってはいけない彼女を、
こんなにも、こんなにも好きになってしまった。
「ごめん。もう、黙ってられなかった」
『先生、』
「こんなこと、俺から言うのは間違ってるって、
そんなことお前が思う前に俺も思ってる。
だから、信じられないって思うのも当たり前だし、
驚かせて、困らせるのも分かってる」
『...』
「でも、もう、隠しきれなくて。
絵を描く白石を見る度、美術室で2人になる度、
…何回も、何回も抱きしめそうになった」
自分でも、困っているくらいなんだ。
白石が愛おしくて、どうにかなってしまいそうで。
ずるいと思う。
君が俺に向けてる好意にも気付いてて、
それを見せないように耐えているのも知ってて。
その上で、その努力を全部無駄にするような、
そんな誘惑を俺の方からしているなんて。
でも、この気持ちを抱いてしまった段階で、もう、
俺は白石に対しては、教師としては失格だから。
...だから、せめて。
君にとっていい教師でいられないなら、
男として君を大切にしたいと、そう思うから。
「今すぐ、どうこうしたいとか、
そんなことが言える立場じゃないのは分かってる。
少なくとも、卒業するまでは、
あくまでも教師と生徒でしかなくて、
...というかそういなきゃいけないと思ってる」
『...っ、』
「でも、...もし、その先を考えられるんなら。
俺は、それまで待つつもりでいるし、
...もし白石も、同じ気持ちでいてくれるなら、」
『...はい、』
「俺は、白石と、恋人になりたい」
...それで、もし、本当にそうなったとしたら。
雅ちゃん、あなたが樹と過ごせなかった時間を、
俺は絶対、白石と一緒に過ごしてみせるよ。
＊
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作者名：りり | 作成日時：2019年9月1日 20時
